万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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やすみししわご大君の大御船待ちか恋ふらむ滋賀の辛崎(からさき)

〔舎人吉年〕

巻二(一五二)
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あまねく国土をお治めになるわが大君の御船の帰りを恋い待ちわびているだろうか、滋賀の唐崎の港は。
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この歌も先の巻二(一五一)の歌と同じく、天智天皇が崩御ののち埋葬に先立って新城(あらき)に祭られた時に詠まれた二首のうちひとつ。
こちらの歌の作者は舎人吉年(とねりのきね)のようですが、この人物は天智天皇の内廷に詞の媼(おうな)として仕えた舎人氏の吉年とのこと。

「辛崎」は現在の「唐崎」です。
先の額田王の歌を受けてこちらの歌でも「天智天皇が乗った船の帰りを滋賀の唐崎は待ちわびているだろうか」と、黄泉の旅路に出てしまった天智天皇の船の帰りを恋うている内容ですね。
こうして残された人々や土地さえも天智天皇の帰りを待っているのだと詠うことで、あの世へと旅立ってしまった天皇の魂を慰めているわけです。
このように万葉集の時代の歌(とくに初期のものに顕著)というのは単なる心情の吐露というだけでなく、死者や大自然の神々などに語り掛ける鎮魂や祈りの言葉としての呪術的な意味合いが強いものでした。


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万葉集巻二


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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