万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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鏡王女の和(こた)へ奉(まつ)れる御歌一首

秋山の樹(こ)の下隠(がく)り逝(ゆ)く水のわれこそ益(ま)さめ御思(みおもひ)よりは

巻二(九二)
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秋山の木の葉の下を隠れて流れる水のように姿は見えなくても私は貴方が私を想ってくださるよりもはるかに増して思い焦がれています。
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こちらの歌は先の巻二(九一)で難波宮に行幸していた天智天皇が鏡王女に贈った歌に対する、鏡大女からの返歌です。
先の歌で天智天皇が鏡王女のいる家が見えたらなあと嘆いたのに対して、秋山の木の葉の下を流れる水のように姿は見えなくとも…と、風流な譬えを出して非常にうまい返し方をしていますね。
純粋な愛情とともに、私が深く貴方を想い無事を祈っていますから、どうぞ安心して無事の旅路をお帰りくださいとの深い祈りのこもった歌のようにも感じられます。
こういう歌を返されると天智天皇もますます鏡王女を愛しく感じたであろうと思われますが、移ろう季節のように流れる水のように天皇の心はやがて鏡王女の妹である額田王のほうへと移ってゆくのでした…


桜井市忍坂の鏡王女のお墓へ行く途中にこの歌の歌碑があります。
舒明天皇陵の前の小川をさか登ってすぐの川のほとりです。
巻四(四八九)を参照。


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万葉集巻二の他の歌はこちらから。
万葉集巻二


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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