万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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へそがたの林のさきの狭野榛(さのはり)の衣(きぬ)に着くなす目につくわが背(せ)
右の一首は、今案(かむが)ふるに、和(こた)ふる歌に似ず。ただ旧本にこの次に載す。故以(そゑ)になほここに載す。
巻一(十九)
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綜麻(へそ)形の林のはずれの榛の衣に匂うように私の目に匂う愛しい人よ
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この歌は先の巻一(十七) と 巻一(十八)の額田王の歌に、井戸王(ゐのへのおほきみ)が和(こた)えた歌です。
井戸王については詳細は不明。
「綜麻(へそ)形」は麻の糸を巻いた糸玉のことで、三輪山の形がこれに似ていることからここでは三輪山そのものを譬えた言葉として使われています。
つまりは「三輪山の林のはずれの…」といった意味です。
そんな「三輪山の林のはずれの榛の衣に匂うように私の目に匂う愛しい人よ」とは、ちょっと難解な歌で、左注にも「和(こた)ふる歌に似ず」と編者が書いていますが、おそらくは「神山である三輪山の霊力を授かってわが背(天智天皇)が目の前にいる」との、天智天皇の旅の無事と長寿を願った祈りの歌なのではないでしょうか。
この後、三輪山の霊力を授かった天智天皇たちは無事近江に辿り着き、新しい宮での治世がはじまります。
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万葉集巻一
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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