万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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反歌
ささなみの志賀の辛崎幸(からさきさき)くあれど大宮人の船待ちかねつ
巻一(三〇)
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楽浪の志賀の辛崎はその名の通りに今もあるのに大宮人を乗せた船はいくら待っても帰ってこないなあ。
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この歌も柿本朝臣人麿(かきのもとのあそみひとまろ)がかつて天智天皇の都のあった近江の地を通ったときに詠んだ歌で、先の巻一(二九)の長歌に付けられた二首の反歌の内のひとつです。
「辛崎」は現在の滋賀県大津市唐崎のことで、当時は琵琶湖へ船出する港があったようです。
そんな「楽浪の志賀の辛崎は変わらず今もあるのに、大宮人を乗せた船はいくら待っても帰ってこないなあ。」との、大宮人のいなくなった近江の宮と辛津の地の寂しさを嘆いている訳ですね。
辛崎の港を出航した船の歌としては、額田王が天皇の亡くなったときに詠んだ挽歌(巻二:一五一)がありますが、人麿のこの反歌も額田王の歌を念頭に置いて詠まれたものでしょうか。
帰ってこないと詠いながらも、かつて大宮人たちの乗った船で賑わった辛津の様子が目の前に蘇ってくるようなそんな不思議な感覚もして、廃れてしまった土地の神を慰める見事な鎮魂歌になっているように思います。
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万葉集巻一
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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