万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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橘(たちばな)の蔭履(かげふ)む路の八衢(やちまた)に物をそ思ふ妹に逢わはずして
〔三方沙弥〕

巻二(一二五)
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橘の木陰を踏む道の八方に分かれるようにあれこれと物思いしてしまうよ、妻に逢えずにいると。
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この歌も園臣生羽(そののおみいくは)の女(むすめ)と関係をもってすぐに病に伏した三方沙弥(みかたのさみ)が詠んだ恋歌。
「橘(たちばな)」は蜜柑類の総称。
三方沙弥の巻二(一二三)の歌に娘が返した巻二(一二四)の歌に対しての三方沙弥のさらなる返歌で、「病に伏して君に逢えないでいるので、あれこれと物思いしてしまうよ」と自身の気弱な心を恥じるとともに娘が変わらぬ愛を誓ってくれたことへの安堵の気持ちの感じられる歌となっていますね。

このような恋に思い悩む不安な気持ちは病に伏していた三方沙弥のみならず他の多くの人々にも共感を得ていたようで、巻六(一〇二七)にも豊島采女が折りに触れてこの歌をもとにした歌を口ずさんでいたらしいことが伝えられています。
おそらくは千数百年後の現代を生きるみなさんにも共通の想いがあるのではないでしょうか。
いつの時代も、人は恋に悩み恋に苦しみ、そして恋に喜ぶものなのでしょうね。


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万葉集巻二


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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