万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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明日香川明日だに〔一は云はく、さへ〕見むと思へやも〔一は云はく、思へかも〕わご大君の御名(みな)忘れせぬ〔一は云はく、御名忘らえぬ〕

巻二(一九八)
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明日香川の名のようにせめて明日だけ〔一は云はく、明日まで〕見ようと思うのではない〔一は云はく、思うからか〕。わが皇女の御名はけっして忘れないないことです〔一は云はく、忘れられません〕。
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この歌も先の巻二(一九七)の歌と同じく明日香皇女(あすかのひめみこ)が亡くなって殯宮(あらきのみや)に奉られた時に、柿本人麿(かきのもとのひとまろ)が詠んだ挽歌で、巻二(一九六)の長歌に付けられた二首の反歌のひとつ。
上の句は少し意味が難解ですが、「思へやも」の「やも」は否定の意味を持つ願望なので、ここは「明日香川の名のように明日だけ会いたいと願うのではなく何度でも会いたいのです」との意味ですね。
そして下の句でも、「明日香皇女の御名は、明日だけでなく決して忘れることはありません。」と詠い、亡くなった明日香皇女の魂を慰める一首となっています。

この歌もまた、夫である忍壁皇子だけでなく明日香皇女のことを知る誰もが口ずさんで皇女の魂と交流し皇女の霊を慰めることの出来る、宮廷歌人としての人麿らしい見事な挽歌に仕上がっているように思います。


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万葉集巻二


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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