万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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或る本の歌に曰く

天離(あまざか)る夷(ひな)の荒野(あらの)に君を置きて思ひつつあれば生けりともなし

右の一首の歌は作者いまだ詳(つばひ)らかならず。ただ、古本、この歌をもちてこの次(つぎて)に載す。

巻二(二二七)
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天のように遠い夷の荒野にあなたを置いて恋い慕っていると生きた心地もしません。
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この歌は柿本朝臣人麿(かきのもとのあそみひとまろ)の死を悼んで、妻の依羅娘子(よさみのをとめ)や丹比真人(たぢひのまひと)が詠んだ巻二(二二四) 〜 巻二(二二六)の歌の後に置かれた一首。
左注によると作者は不明なようですが、あるいは巻二(二二四)など人麿の死に関連したこれらの歌の伝承管理者の作でしょうか。
「夷(ひな)」は辺境の地。

そんな「天のように遠い夷の荒野にあなたを置いて恋い慕っていると生きた心地もしません。」と、妻の立場で遠い地で亡くなった夫(柿本人麿でしょうか)の死を悲しみ悼む一首となっています。
まあ、歌の内容としては下の句が巻二(二一二)の歌とほぼ同じであったりと取り立てて語るほどのものはないのですが、どのような経緯でこの歌が詠まれたのかなどを想像しながら読んでみるのも面白いかも知れませんね。


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万葉集巻二


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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