万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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或る本の歌に曰はく

みさごゐる荒磯(ありそ)に生(お)ふる名乗藻のよし名は告らせ親は知るとも

巻三(三六三)
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みさごのいる荒磯に生える名乗藻のように、構わないから名前を教えてよ、たとえ親に知られたとしても。
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この歌も巻三(三五七)の歌などと同じく、山部宿禰赤人(やまのべのすくねあかひと)が詠んだ旅の歌六首のうちのひとつで、題詞に「或る本の歌に曰はく」とあるように、巻三(三六二)の歌の異伝となっています。
「よし名は告らせ」の「よし」は、結句の「とも」と呼応して「どうなっても構わない」との放任の意味。

そんな細かな語句の表現の違いはあるものの、内容自体は巻三(三六二)の歌とほぼ同じなのであらためての解説の必要もないでしょう。
おそらくは、もともとあった山部赤人の歌が伝誦される過程で語句を変えて伝わり記録されたのでしょうね。
万葉集の歌は作者とは別の他の人物が好んで口誦することもよくあったようで、このように口誦による伝承やその後に記載される過程でその語句を変えて人々の間に広まった歌が多くありました。

以上、山部赤人の詠んだ旅の歌六首でした。


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万葉集巻三


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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