万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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石上乙麿朝臣(いそのかみのおとまろあそみ)の歌一首

雨ふらば着(き)むと思へる笠(かさ)の山人にな着せそ濡(ぬ)れはひづとも

巻三(三七四)
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雨が降ったならわたしが着けようと思っている笠の山よ。他の人には着けさせないでほしい。その人が雨に濡れようとも。
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この歌は石上乙麿朝臣(いそのかみのおとまろあそみ)の詠んだ一首。
「笠(かさ)の山」は三笠山(みかさやま)のことで、おそらくは山部宿禰赤人(やまべのすくねあかひと)が春日野(かすがの)に登って巻三(三七二) や 巻三(三七三)の歌を詠んだ時に、側にいた石上乙麿が和して詠んだ宴席の一首ではないかと思われます。

歌の内容は「雨が降ったならわたしが着けようと思っている笠の山よ。他の人には着けさせないでほしい。その人が雨に濡れようとも。」と、三笠山をその名から笠に見立てて擬人化して詠んだ一首ですね。
同時に、三笠山を女性に見立てて自分以外の他の男とはけっして結ばれたりしないでほしいとの、恋の思いも含んだ内容ともなっています。

春日野は春日山から今の奈良公園一帯まで広がっていた広域だったようですが、この歌もそんな春日の野での石上乙麿や山部赤人たちが宴に戯れる様子が目に浮かんでくるような一首のように思います。


高畑(新薬師寺方面)から見た三笠山(御蓋山)。


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万葉集巻三


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万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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