万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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娘子のまた報(こた)へたる歌一首

わが祭る神にはあらず丈夫(ますらを)に着きたる神そよく祭るべき

巻三(四〇六)
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その神さまは私が祭る神さまではないのですよ。立派な男子のあなたに着いている神さまですからよく祭ってくださいね。
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この歌は巻三(四〇四)の歌などと同じく佐伯宿禰赤麿(さへきのすくねあかまろ)と娘子(をとめ)が交わした相聞歌の一首。
「おそろしい神さまの社がなかったなら春日の野辺に粟を蒔く(逢わまく)のですが…」と、巻三(四〇四)の歌で神の社があることを譬えにして娘子は赤麿の求婚を断わります。
そんな娘子に対して、「春日野に粟を蒔けば粟を食べにくる鹿を待つように何度でも逢いに行くのに、社を怨みます」と赤麿は巻三(四〇五)の歌で娘子への恋を諦めるのですが…

それに対する娘子の最後の返歌がこの歌となっています。


「その神さまは私が祭る神さまではないのですよ。立派な男子のあなたに着いている神さまですからよく祭ってくださいね。」とは、「春日野の神さま」が春日野に住む赤麿の妻の譬えであることを詠っているわけですね。
あるいは赤麿は、巻三(四〇四)の歌や巻三(四〇五)の歌の時点では娘子の言う春日野の神が自分の妻のことであることに気が付いていなかったのかも知れませんが、
「社を怨みます」と、他の女への恋のために妻を怨むような移り気な男では娘子も醒めたことでしょう。
しかも一度断っただけで簡単に諦めてしまうのですから…


そんな駄目な男に対して、せめて「奥さんを大切にしてあげなさいね」と忠告してやることしか出来なかったのでしょうね。


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万葉集巻三


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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