万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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妹(いも)もわれも清(きよみ)の河(かは)の川岸(かはぎし)の妹(いも)が悔(く)ゆべき心は持たじ
右は、案(かむが)ふるに、年紀(とし)と所処(ところ)、また娘子(をとめ)の屍(かばね)の歌を作れる人の名は已(すで)に上に見えたり。ただ、歌の辞相違(ことばあひたが)ひ、是非別(ぜひわ)き難(がた)し。因(よ)りて累(かさ)ねてこの次(つぎて)に載(の)す。
巻三(四三七)
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あなたも僕も清らかな関係で、清の川の川岸の崩れてしまうような、あなたが悔やむような浮ついた気持ちなど僕は持っていないよ。
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この歌も巻三(四三四)の歌などと同じく、河辺宮人(かはべのみやひと)が姫島(ひめしま)の松原(まつばら)を通ったときに、娘子(をとめ)が倒れて亡くなっているのを見て哀しんで詠んだ四首の歌のうちのひとつ。
先の巻三(四三六)の歌では河辺宮人が亡くなった娘子の生前の立場に立って詠んでいましたが、こちらは娘子の恋人の立場で詠んだ一首となっています。
「あなたも僕も清らかな関係で、清の川の川岸の崩れてしまうような(他人の噂で終わってしまうような)、あなたが悔やむような浮ついた気持ちなど僕は持っていないよ。」との、恋人の娘子への思いの深さを詠うことで亡くなった娘子の魂を慰めているわけですね。
「清(きよみ)の河(かは)」の所在はわかりませんが、このふたりの関係の清らかさを連想させて美しい名です。
実際にこの娘子がどんな事情で入水したのかはわかりませんが、このようにその関係を清らかに詠われることで娘子の魂も少しは安らいだのではないでしょうか。
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万葉集巻三
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県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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