万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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若子(みどりご)の這(は)ひたもとほり朝夕(あさよひ)に哭(ね)のみそわが泣く君無しにして
右の五首は、資人(しじん)余明軍の、犬馬の慕(したひ)に勝(あ)へず、心の中(うち)に感緒(おも)ひて作れる歌なり。
巻三(四五八)
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幼子が這い回り泣くように朝に夜に私は泣いています。あなたがいらっしゃらないので…
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この歌も巻三(四五四)の歌などと同じく、大伴旅人(おほとものたびと)が亡くなったときに余明軍(よのみやうぐん)が詠んだ五首の挽歌のうちの一首。
「幼子が這い回り泣くように朝に夜に私は泣いています。あなたがいらっしゃらないので…」と、この歌も旅人を亡くしたことで朝も夜もなく泣き続けているとの悲しみが詠われています。
内容自体は巻三(四五六)などの歌と似た部分もありますが、それだけ旅人の魂に繰り返し詠い掛けねば気持ちが鎮まらないほどの悲しさだったのでしょうね。
歌の後の左注に「右の五首は、資人(しじん)余明軍が犬馬のように旅人を慕い心の悲しみを詠った歌なり。」とあるように、明軍にとって旅人を喪った悲しみはまさに何物にも代えがたい大きなものだったのでしょう。
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万葉集巻三
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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