万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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朝鳥(あさとり)の音(ね)のみし泣かむ吾妹子(わぎもこ)に今また更(さら)に逢(あ)ふよしを無み

右の三首は、七月二十日に高橋朝臣の作れる歌なり。名、字(あざな)いまだ審(つばひ)らかならず。ただ、奉膳(かしはで)の男子(をのこ)といへり。

巻三(四八三)
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朝鳥が鳴く声のように毎朝泣くのだろう。わが妻に今またもう一度逢うすべもないので…
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この歌も先の巻三(四八二)の歌と同じく、妻を亡くした高橋朝臣が哀しんで詠んだ挽歌で巻三(四八一)の長歌につけられた二首の反歌の内のひとつです。
「これからは朝鳥が鳴く声のように毎朝泣くのだろう。わが妻に今またもう一度逢うすべもないので…」と、妻を亡くしてこれからは毎朝泣いて過ごすことになるのだろうとその哀しみを朝鳥の声に譬えて詠っています。

万葉の時代も初期の人々はまだ死者の蘇りを信じる心を持っていたようで挽歌にもその影響が色濃く表れていましたが、奈良時代に入るころには魂が戻る肉体を灰にしてしまう火葬も普及して死んだ人間にはもう二度と逢うことは出来ないのだとの諦めの観念が出来て来たようですね。
高橋朝臣のこの歌にもそんな影響が色濃く出ているように思います。

そんな、妻と二度と逢えない独り寝の悲しみに、実際に高橋朝臣はこのあと幾たびもの涙に濡れた朝を迎えることになったのでしょう。


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万葉集巻三


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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