万葉集入門
万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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淡海路(あふみぢ)の鳥籠(とこ)の山なる不知哉(いさや)川日(け)のころごろは恋ひつつもあらむ

右は、今案(かむが)ふるに、高市崗本宮(たけちのをかもとのみや)と、後(のちの)崗本宮と、二代二帝、各々異(こと)なれり。ただ崗本天皇といへるは、いまだその指(さ)すところを審(つばひ)らかにせず。

巻四(四八七)
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近江路の鳥籠の山にある不知哉川のその名のように、先のことは知らないが今は恋い慕っていよう。
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この歌も先の巻四(四八六)の歌と同じく崗本天皇(をかもとのすめらみこと)の御製歌とされる歌で、巻四(四八五)の長歌に付けられた反歌二首のうちの一首。
「鳥籠の山」は近江にある山の名で、その山を流れる「不知哉川」のように先のことは知らない(わからない)が…と、「不知(しいさ)」という川の名の響きから「知らない」という内容に続けているわけですね。
「不知(いさ)」はこの時代、「知らず」という意味で普通に使っていたようです。

「不知哉川日のころごろは恋ひつつもあらむ(先のことは知らないが今は恋い慕っていよう)」とは、どことなく失恋を連想させる暗さも感じますが、天皇ほどの身分のものをこれほどまでに思い焦がせた人物とはいったい誰だったのでしょうね。


奈良県桜井市押坂にある舒明天皇陵。
この巻四(四八五)の長歌からつづく三首は崗本天皇(をかもとのすめらみことの御製歌とのことですが、左注によれば崗本天皇には高市岡本宮(舒明天皇)と後岡本宮(斉明天皇)の二代二帝の天皇がおりどちらのことかはっきりとは分かっていないようです。



2015年に奈良県立明日香養護学校の建て替え工事中に発掘された小山田遺跡。
押坂にある舒明天皇陵に葬られる前に、舒明天皇が最初に埋葬された古墳ではないかといわれています。



小山田遺跡復元図。
復元図左側が古墳。


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万葉集巻四の他の歌はこちらから。
万葉集巻四


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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