万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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伊勢国(いせのくに)に幸(いでま)しし時に、當麻麿大夫(たぎまのまろのまへつきみ)の妻の作れる歌一首

わが背子(せこ)はいづく行くらむ奥(おく)つもの名張(なばり)の山を今日(けふ)か越ゆらむ

巻四(五一一)
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私の夫はどのあたりを旅しているかな。きっと遠い彼方の隠の山を今ごろは越えているころでしょう
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この一首は、當麻麿大夫(たぎまのまろのまへつきみ)が天皇の伊勢国(いせのくに)行幸に随従して旅だった時に、妻が夫の身を案じて詠んだ一首。
當麻麿大夫は當麻真人麿(たぎまのまひとまろ)のことで、つまりこの歌は細部の表記は異なるものの巻一(四三)の歌と同じ歌で万葉集内の重出の一首となっています。
「名張(なばり)」は今の三重県名張市。
「奥(おく)つもの」は「藻が海の底深く隠(なば)る」の意味から「名張(なばり)」にかかる枕詞です。
まあ、細かな解説についてはまた 巻一(四三)の歌のほうを参考にしてみてください。

巻一(四三)では巻一の雑歌の部として集録されていた典型的な夫の旅の無事を祈る呪術歌でしたが、こちらの巻四(五一一)では相聞歌として集録されています。

巻四(五〇九)の歌などもそうでしたが、夫が家の妻を思って詠んだり逆に妻が旅先の夫を思って詠む旅の鎮魂歌も、広い意味ではお互いに贈りあった相聞歌と言えるからなのでしょう。
たしかにこの歌も、夫婦のお互いを思いやる気持ちの交流が感じられる素敵な一首でもありますよね。


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万葉集巻四


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価637円〜〜1101円(税込み参考価格)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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