万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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あしひきの山に生(お)ひたる菅(すが)の根のねもころ見まく欲(ほ)しき君かも

巻四(五八〇)
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あしひきの山に生えている菅の根のように、ねもころに見ていたいあなた様です。
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この歌も先の巻四(五七九)の歌と同じく、余明軍(よのみやうぐん)が大伴宿禰家持(おほとものすくねやかもち)に贈った二首の歌のうちのひとつ。
「菅の根」は長いものを譬えるのに用いられ、「菅の根の」は「ねもころ」などにかかる枕詞。
「ねもころ」は「ねんごろ」のことで、「真心を尽くして」の意味。

そんな「あしひきの山に生えている菅の根のように、長くねもころに見ていたいあなた様です。」との、この歌も主人である旅人の子息の家持に対して、余明軍が忠誠を誓った挨拶歌なわけですね。
ただ、この後に一年ほどして旅人が亡くなってしまい、その後の余明軍がどうなったのかははっきりとはしないようです。
おそらくは家持の官位で旅人の資人を受け継ぐことは出来なかったと思われるので、不本意にも大伴家から他の廷臣の資人へと移ることになったのでしょうね。
自身の思いや誓いが必ずしも遂げられると限らないのは、朝廷に仕える身の辛いところなのでしょう。

旅人の死に対して明軍は巻三(四五四)の歌など五首の哀しみの挽歌を詠んでいます。


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万葉集巻四


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価637円〜〜1101円(税込み参考価格)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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