万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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つき草の移ろひやすく思へかもわが思ふ人の言(こと)も告げ来(こ)ね
巻四(五八三)
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月草の色のように移り気にしか思ってくださっていないからでしょうか。私の恋しい人は言葉も掛けに来てくださいません。
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この歌も先の巻四(五八一) や 巻四(五八二)の歌と同じく、大伴坂上大嬢(おほとものさかのうへのいへのおほをとめ)が大伴宿禰家持(おほとものすくねやかもち)に贈った四首の歌のうちのひとつ。
「つき草」は「ほたる草」のことで染色が褪せやすいことから、ここでは変わりやすい気持ちの譬えに出しています。
そんな「夢にまで現れてきていっしょに死のうとまで言ってくれた家持なのに、あれは月草の色のように移ろぎやすい気持ちからだったのかその後は言葉も掛けに来てくださいませんね」と、あの後は歌も贈ってくれず夢にも現れて来てくれない寂しさを訴えています。
それにしても、愛しい相手の気持ちが自分に向いていると思って喜んだり、あれは一時の移ろいだ気もちだったのかと悩んだり、万葉の時代の人々もわれわれ現代人と何ひとつ変わらぬ恋の悩みを抱えて生きていたことがこの大嬢の歌からもよく分かりますよね。
万葉集というのは歌の記録であると同時に、当時を生きた人々の心をそのまま現代に伝えてくれる人生の記録でもあるのです。
秋に野原に咲くつき草。
つき草の花。
つき草はつゆ草、ほたる草とも言い、万葉時代には布を染める青い染料にも使われていたようです。
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万葉集巻四
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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