万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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君に恋ひ甚(いた)も術(すべ)なみ平山(ならやま)の小松が下(した)に立ち嘆くかも

巻四(五九三)
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君が恋しくてせん術もなく奈良山の小松の下に立って嘆いています。
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この歌も巻四(五八七)などの歌と同じく、笠女郎(かさのいらつめ)が大伴家持(おほとものやかもち)に贈った二十四首の相聞歌のうちのひとつ。
「平山(ならやま)」とは現在の奈良市佐保町のあたりで大伴家持の家もこのあたりにあったと言われています。
巻四(五八九)の歌などで笠女郎は明日香の打廻(うちみ)の里で過ごしていたらしいことが窺われますが、この歌の時点では一時的に奈良の都に出てきていたようです。
あるいは家持に逢いたい一心で遠く明日香の里から奈良まで出向いてきたとも考えられますが…

そんな奈良山の小松の下から家持の邸宅を眺めてひとり立ち尽くすしかない嘆きがなんとも切ない一首ですよね。
笠女郎ほどの情熱と一途な思いを持っている女性でも、自分からはこれ以上は家持に近づくことは出来なかったのでしょう。


奈良山は現在の鴻ノ池運動公園一帯の山。
このあたりに大伴家持の邸宅もあったようです。




奈良県法蓮町の狭岡神社にあるこの歌の歌碑。



歌碑裏。



歌碑の解説。



奈良県法蓮町にある狭岡神社。
笠女郎の歌碑は参道石段の途中にあります。


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万葉集巻四


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県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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