万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
スポンサード リンク
湯原王のまた贈れる歌二首
草枕旅には妻は率(ゐ)たれども匣(くしげ)の内の珠をこそ思へ
巻四(六三五)
-----------------------------------------------
草を枕の旅に妻を連れてきてはいるけれど、私は匣(くしげ)の中に大切に仕舞っている珠(たま)をこそ大事に思っているのです。
-----------------------------------------------
この歌も湯原王(ゆはらのおほきみ)が旅先で出会った娘子(をとめ)に贈った巻四(六三一)の歌からつづく一連の相聞歌の内のひとつ。
先の巻四(六三三)の歌で娘子が「家にいても仲睦まじいのに草を枕の旅にも一緒にいられる奥さまが羨ましいことです。」と嫉妬交じりの歌を贈ったのに対して、湯原王は「草を枕の旅に妻を連れてきてはいるけれど、私は匣(くしげ)の中に大切に仕舞っている玉をこそ大事に思っているのです。」と、ほんとうに大切に思っているのはあなたのことですとの意味の歌で返しています。
「匣(くしげ)」は櫛などを入れておく箱のことで、「珠(たま)」は宝の玉のこと。
つまりは娘子のことを「匣の中に入れた大切な珠」に譬えたわけですね。
まあ、こんなふうに言われてしまっては逆に湯原王の妻の立場がありませんが、男と言うのは本心は別としても好きな女の前ではついついこういうことを言ってしまうものなのでしょう。
湯原王が娘子に贈った歌がさらに続きます。
スポンサード リンク
関連記事
万葉集巻四の他の歌はこちらから。
万葉集巻四
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価637円〜〜1101円(税込み参考価格)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
万葉集入門(トップページ)へ戻る
当サイトはリンクフリーです、どうぞご自由に。
Copyright(c) 2015 Yoshihiro Kuromichi (plabotnoitanji@yahoo.co.jp)
スポンサード リンク
欲しいと思ったらすぐ買える!楽天市場は24時間営業中
Amazon.co.jp - 通販