万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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娘子のまた報(こた)へ贈れる歌一首

絶(た)ゆと言はば侘(わび)しみせむと焼太刀(やきたち)のへつかふことは幸(さき)くやあが君

巻四(六四一)
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もう終わりだと言えば辛い思いをさせるだろうと思って焼太刀のようなうわべだけの関係を続けるなら、それで本当に幸せでしょうかあなた…
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この歌も湯原王(ゆはらのおほきみ)が旅先で出会った娘子(をとめ)に贈った巻四(六三一)の歌からつづく一連の相聞歌の内のひとつで、娘子が湯原王に贈った一首。
「焼太刀の」は身に付けることから「へつかふ」にかかる枕詞。
「へつかふ」は「側に近づく」の意味。

先の巻四(六四〇)の歌から湯原王の微妙な心境の変化を娘子も感じ取ったのでしょう。
「もう終わりだと言えば辛い思いをさせるだろうと思って焼太刀のようなうわべだけの関係を続けるなら、それで本当に幸せでしょうかあなた…」と、湯原王に別れの決断を迫る内容となっています。
湯原王のほうから声をかけておきながら心変りするというのも勝手な話ですが、自分への興味が急速に薄れてしまっているにもかかわらず傷つけまいとして優しい歌を贈って来る湯原王を、娘子も怨み切れなかったのでしょうね。
どこか湯原王への思いやりが感じられるゆえに、なおさら悲しい娘子の失恋の一首となっています。


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万葉集巻四


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価637円〜〜1101円(税込み参考価格)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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