万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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反歌

家に行きて如何(いか)にか吾(あ)がせむ枕づく妻屋(つまや)さぶしく思ほゆべしも

巻五(七九五)
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家に帰ったとて私はどうすればよいのか、枕を共にした妻屋も寂しく感じるだけだろう。
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この歌も大伴旅人(おほとものたびと)の妻の死(巻五:七九三も参照)に対して山上憶良が贈った追悼歌で、巻五(七九四)の長歌に付けられた反歌のうちのひとつ。
「家に帰ったとて私はどうすればよいのか、枕を共にした妻屋も寂しく感じるだけだろう。」と、この反歌も妻を亡くした旅人の立場に立って詠まれた悲しい挽歌となっています。

この時代の結婚は夫が妻の家(妻屋)を訪れる妻問い婚(通い婚)が普通でしたが、旅人は赴任先の大宰府にも妻のための家を用意してそこに妻を住まわせていたのでしょうか。
あるいは憶良が一般的な夫婦の形に合わせて「妻屋」と詠っただけなのかも知れませんが…

どちらにしても、妻の居ない家に独り帰ったとて悲しいだけだという心情は現代人にも十分に理解できる感情ですよね。


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万葉集巻五の他の歌はこちらから。
万葉集巻五


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価637円〜〜1145円(税別)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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