万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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大野山(おほのやま)霧立ち渡るわが嘆く息嘯(おきそ)の風に霧立ちわたる
巻五(七九九)
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大野山に霧が立ち渡るよ。わたしの嘆く息の風によって霧が立ち渡るよ。
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この歌も大伴旅人(おほとものたびと)の妻の死(巻五:七九三も参照)に対して山上憶良が贈った追悼歌で、巻五(七九四)の長歌に付けられた反歌のうちのひとつ。
「大野山(おほのやま)」は福岡県太宰府市の「大城山(おおきやま)」のことで、大宰府の後ろにありこの山に旅人の妻は葬られたようですね。
そんな「妻の亡骸の眠る大野山に霧が立ち渡るよ。わたしの嘆く息の風によって霧が立ち渡るよ。」と、妻を亡くした嘆きのため息によって大野山に霧が立ち渡っているとその哀しさを詠っています。
この歌は山上憶良が旅人の立場に立って詠んだものですが、この時期の旅人はきっと実際にため息ばかりついて妻を亡くした悲しさに気落ちする日々が続いていたのでしょうね。
憶良の視点で詠われることによって、旅人の亡き妻を思う気持ちがよりいっそう引き立って感じられるそんな歌のようにも感じます。
以上、伴旅人(おほとものたびと)の妻の死に対して山上憶良が詠んだ追悼歌の紹介でした。
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万葉集巻五の他の歌はこちらから。
万葉集巻五
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価637円〜〜1145円(税別)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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