万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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春の野に霧(き)り立ち渡り降る雪と人の見るまで梅の花散る

筑前目田氏真神(でんしのまかみ)

巻五(八三九)
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春の野に一面に立ち渡って降る雪かと人が思うほどに梅の花が散っているなあ。
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この歌も大宰師の大伴旅人(おほとものたびと)の邸宅で開かれた宴席で詠まれた「梅花(うめのはな)の歌」三十二首の歌のうちのひとつ。
この「梅花(うめのはな)の歌」三十二首の歌は三十二人が八人ずつに分かれて順番に詠みまわしたもので、この歌は第四集団の最初の一首。
作者の田氏真神(でんしのまかみ)については、詳しいことはわからないようです。

歌の内容は「春の野に一面に立ち渡って降る雪かと人が思うほどに梅の花が散っているなあ。」といった感じで、宴の主人である旅人の巻五(八二二)の歌や、旅人の歌を受けて詠まれた第二集団の伴氏百代の巻五(八二三)の歌などを連想させることで、一座の歌と人々の間の連帯感を再認識させる効果もあるなかなかに上手い一首となっています。

つまりは第四集団の冒頭という節目で大伴旅人や伴氏百代の歌を思い出させることで、三十二人が八人ずつに分かれて詠いまわしているこの「梅花(うめのはな)の歌」の歌が皆の共同作業で詠まれている一群の歌であることを再確認する効果を生んでいるわけですね。

まあ、田氏真神自身はあるいはそこまで明確には意識せずに、無意識の感性でこのように詠んだのかも知れませんが…


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万葉集巻五


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県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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