万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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君を思ふこと尽きずして、重ねて題(しる)せる二首
遙遙(はろはろ)に思ほゆるかも白雲の千重(ちへ)に隔(へだ)てる筑紫(つくし)の国は
巻五(八六六)
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遙かに遠くに思われることです。白雲が千重に隔てている筑紫の国は
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この歌も巻五(八六四)の歌などと同じく、大宰府の大伴旅人(おほとものたびと)からの書簡に、奈良の都の吉田宜(よしだのよろし)が返書した手紙(吉田宜書簡を参照)に添えられた歌のうちのひとつ。
「遙かに遠くに思われることです。白雲が千重に隔てている筑紫の国は」と、大伴旅人のいる筑紫の国の遠さを嘆き、旅人への思慕を詠った一首ですね。
「白雲が千重に隔てている」との表現は、大陸の伝説の仙女である西王母が唱したという「白雲謡」を念頭に置いたもの。
このあたりの大陸の伝説を歌の中に交えて来る感覚は、さすがに渡来系の人物である吉田宜ですね。
奈良から筑紫(福岡県)というと現代でも簡単には行き来できる距離ではありませんが、旅人たちのいた奈良時代にはさらに遠い距離と感じられたことでしょう。
まさに「白雲が千重に隔てている」という言葉そのものだったのではないでしょうか。
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万葉集巻五
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価637円〜〜1145円(税別)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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