万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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諸人(もろひと)の梅花(うめのはな)の歌に和(こた)へ奉れる一首
後(おく)れ居て長恋(ながこ)ひせずは御園生(みそのふ)の梅の花にもならましものを
巻五(八六四)
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後に残されていつまでも恋い慕っていないであなたのお庭に生える梅の花にでもなりたいものです
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この歌は大宰府の大伴旅人(おほとものたびと)からの書簡に、奈良の都の吉田宜(よしだのよろし)が返書した手紙(吉田宜書簡を参照)に添えられた歌のうちのひとつ。
大伴旅人は吉田宜への書簡に「梅花(うめはな)の歌」二十三首(巻五:八一五 〜 八四六までを参照)や、「松浦河に遊ぶ」の歌(巻五:八五三 〜 八六三までを参照)を添えて贈っており、この巻五(八六四)の歌は宜が「梅花(うめはな)の歌」に後れて追和した内容となっています。
歌の内容は「後に残されていつまでも恋い慕っていないであなたのお庭に生える梅の花にでもなりたいものです」と、奈良の都にひとり残されて旅人のことを恋しがっているぐらいなら大宰府の旅人の家の庭に咲く梅の花にでもなりたいものだとの心情を詠った一首ですね。
「梅花の歌」に追和しながら、まるで女性が旅先の愛する男に贈った恋歌のようにも読める魅力的な一首ですよね。
こうして見ると、吉田宜もなかなかに歌の才のあった人物のようです。
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万葉集巻五
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価637円〜〜1145円(税別)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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