万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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反歌
大伴の御津(みつ)の松原かき掃(は)きてわれ立ち待たむ早帰りませ
巻五(八九五)
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大伴の御津の松原を綺麗に掃いて私はお待ちしています。早く帰ってきてください。
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この歌は山上憶良(やまのうへのおくら)が遣唐使として唐へ渡る丹比広成(たぢひのひろなり)に贈った送別歌で、先の巻五(八九四)の長歌に付けられた二首の反歌のうちのひとつ。
「大伴の御津(みつ)」は、難波の御津のことで、ここから遣唐使船が出航するのでしょう。
そんな「大伴の御津の松原を綺麗に掃いて私はお待ちしています。早く帰ってきてください。」と、広成たち遣唐使の船が無事帰って来るのを待っていますとの送別歌ですね。
巻五(八九六)のあとの左注によると憶良がこれらの歌を詠んだのは天平五年三月一日のことで、前年に憶良は筑前の守の任を終えて奈良の都に帰京していたようです。
そんな奈良の都の憶良の屋敷を訪ねて来た丹比広成に贈った歌ですが、憶良が歌に込めた言霊のおかげかこの年の四月に出航した広成はその後、唐での任を終えて荒れた帰路の航海に苦慮しながらも無事大和に帰って来ることが出来たようです。
ただし、残念ながらその頃にはすでに憶良は亡くなっていて、広成の帰りを出迎えるというこの歌の約束は果たせなかったようですが…
大阪府堺市の浜寺公園の松原。
大伴の御津の松原は難波の浜辺の松原のことですが、浜寺公園や高石神社の拝殿横の松などには当時の面影が今もかすかに残っているように感じます。
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万葉集巻五
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価637円〜〜1145円(税別)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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