万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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術(すべ)も無く苦しくあれば出で走り去(い)なと思へど児らに障(さや)りぬ

巻五(八九九)
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どうする術もなく苦しいのでこの世を走り出て去ってしまいたい思うのだけれど、子供のことを思うとそれも妨げられてしまうよ
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この歌も先の巻五(八九八)の歌と同じく、山上憶良(やまのうへのおくら)が老いて病を重ねる自身の身を嘆いて詠んだ七首の歌のひとつで、巻五(八九七)の長歌に付けられた反歌のうちのひとつ。
巻五(八九八)の歌から続いて、「どうする術もなく苦しいのでこの世を走り出て去ってしまいたい思うのだけれど、子供のことを思うとそれも妨げられてしまうよ」と、時に黄泉の国に旅立ってしまいたい望みを抱きながらも、後に残された子供のことを思ってそれも妨げられてしまう悲しさを詠っています。

子供のことを思うと死ぬことすら出来ないとの苦悩を詠ってはいますが、巻五(八九七)の長歌にもあるようにその子供がいることが最期の生きる希望に繋がってもいるわけですね。
そんな人の世の苦悩と愛しさを詠って、この歌もなんとも憶良らしい人間味のある一首ですよね。


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万葉集巻五


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価637円〜〜1145円(税別)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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