万葉集入門
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現存する日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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み吉野の秋津(あきづ)の川の万世(よろづよ)に絶ゆることなくまた還(かへ)り見む

巻六(九一一)
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み吉野の秋津を流れる川が万年も絶えることのないようにこれからも絶えずに見たいなあ
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この歌も巻六(九一〇)の歌と同じく、笠金村(かさのかなむら)の詠んだ巻六(九〇七)の長歌に付けられた反歌として或る本に集録されている三首のうちのひとつ。
「秋津(あきづ)の川」は秋津を流れる吉野川のこと。
歌の内容は、そんな「み吉野の秋津を流れる川が万年も絶えることのないようにこれからも絶えずに見たいなあ」と、秋津の川の絶えることのない流れを詠い、おなじように絶えることなくその川を見たいものだと詠っています。

この時代、「見る」という行為は強い賞讃の意味を持っていました。
ですから、「秋津の川を絶えることなく見たい」というのも、吉野川や吉野の土地を賞讃する土地讃めの言葉なわけですね。
笠金村がこの歌を詠んだ養老七年ごろ(元正天皇の時代)には大陸から伝わった仏教の浸透などもあって日本古来の信仰などにもずいぶんと変化が現れていたようですが、それでもこのような土地の神を祝福し、誉め讃える歌などを捧げる信仰の形は失われていなかったようですね。


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万葉集巻六の他の歌はこちらから。
万葉集巻六


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価637円〜〜1145円(税別)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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