万葉集入門
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現存する日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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泊瀬女(はつせめ)の造(つく)る木綿花(ゆふはな)み吉野の滝(たぎ)の水沫(みなわ)に咲きにけらずや

巻六(九一二)
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泊瀬の女の造る木綿の花は今、吉野川の浪の水沫に咲いているではないか
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この歌も巻六(九一〇)の歌などと同じく、笠金村(かさのかなむら)の詠んだ巻六(九〇七)の長歌に付けられた反歌として或る本に集録されている三首のうちのひとつ。
「泊瀬(はつせ)」は奈良県桜井市初瀬。
「木綿花(ゆふはな)」は文字通り木綿の花のことですが、この当時、初瀬の女性たちの造る木綿垂(ゆふしで)が有名だったようでこの歌の場合はその木綿垂(神殿などに垂れ下げる白い垂)をも念頭に置いたものなのでしょう。

そんな「泊瀬の女の造る木綿の花は今、吉野川の浪の水沫に咲いているではないか」と、吉野川のたぎつ白浪の水沫を木綿の花(あるいは木綿垂)に見立てて詠んだ一首ですが、吉野川の水沫を神聖な場に飾る初瀬の女性たちの造る木綿に見立てることで、吉野の地を讃えているわけです。


笠金村が木綿花と見立てた吉野川の浪の水沫。


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万葉集巻六の他の歌はこちらから。
万葉集巻六


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価637円〜〜1145円(税別)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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