万葉集入門
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現存する日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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ぬばたまの夜(よ)の更(ふ)けぬれば久木生(ひさきお)ふる清き川原に千鳥しば鳴く

巻六(九二五)
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ぬばたまの夜が更けると久木の生える清い川原に千鳥がしきりに鳴くよ
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この歌も先の巻六(九二四)の歌と同じく、山部宿禰赤人(やまのべのすくねあかひと)が天皇の吉野行幸時に詠んだ歌で、巻六(九二三)の長歌に付けられた反歌のうちのひとつ。
先の巻六(九二四)の歌が鳥たちの賑やかにさえずり合う朝の情景を詠っていたのに対して、こちらの巻六(九二五)の歌は千鳥のしば鳴く夜の情景を詠って対照的な一首となっています。

「久木(ひさき)」は「楸(ひさぎ)」で、キササゲまたはアカメガシワのこと。
歌の内容は「ぬばたまの夜が更けると久木の生える清い川原に千鳥がしきりに鳴くよ」との、夜の吉野川を詠って美しい情景を想像させる一首ですよね。
現代と違って赤人たちの時代には自動車などの騒音も無く、吉野離宮での夜は吉野川のせせらぎと千鳥たちのしば鳴く声が日中に聞く以上に神秘的に響いたことでしょう。

そんな吉野の一夜を時代を越えて伝えてくれる魅力的な一首ですよね。


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万葉集巻六


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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