万葉集入門
万葉集入門
現存する日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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あしひきの山にも野にも御猟人得物矢手挟(みかりびとさつやたばさ)み散動(さわ)きたり見ゆ

右は、先後を審(つばひ)らかにせず。ただ、便(たより)をもちての故にこの次(つぎて)に載す。

巻六(九二七)
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あしひきの山にも野にも御狩に従う人たちが獲物を狙う矢を手に持って入り乱れているのが見えるよ
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この歌も山部宿禰赤人(やまのべのすくねあかひと)が天皇の吉野行幸時に詠んだ一首で、先の巻六(九二六)の長歌に付けられた反歌。
左注に「右は、先後を審(つばひ)らかにせず。ただ、便(たより)をもちての故にこの次(つぎて)に載す。」とあるのは、巻六(九二三)から巻六(九二七)のこの歌までを指し、これらの歌と他の歌との前後関係がはっきりしないけれども、便宜上この場所に載せるとの編者による注意書きです。

まあ、山部赤人が活躍した年代や笠金村などとの関係などから考えて、聖武天皇の吉野行歌幸が続く万葉集のこの場所に載せた編者の判断は妥当なところでしょう。

歌の内容は、巻六(九二六)の長歌で天皇の御狩の様子を詠っていましたが、こちらの反歌でも「あしひきの山にも野にも御狩に従う人たちが獲物を狙う矢を手に持って入り乱れているのが見えるよ」と、御狩に従う人々が野山に入り乱れる盛大さを讃えています。
矢を手にした人々の獣を追い立てる姿が目に浮かんでくるようで、天皇の御狩を讃えたなんとも躍動感のある一首ですよね。


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万葉集巻六の他の歌はこちらから。
万葉集巻六


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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