万葉集入門
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現存する日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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山部宿禰赤人の作れる歌一首并せて短歌

天地(あめつち)の 遠きが如(ごと)く 日月(ひつき)の 長きが如く 押し照る 難波(なには)の宮に わご大君(おほきみ) 国知らすらし 御食(みけ)つ国 日の御調(みつき)と 淡路(あはぢ)の 野島(のしま)の海人(あま)の 海(わた)の底 奥(おき)つ海石(いくり)に 鰒珠(あはびたま) さはに潜(かづ)き出(で) 船並(な)めて 仕へまつるし 貴し見れば

巻六(九三三)
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天地の遠いように、日や月が長いように、照り輝く難波の宮にわが天皇は国を支配なさるらしい。天皇に食膳を奉仕する国の、天皇への献上品として、淡路の野島の漁師が海底の深い岩礁から、鰒の玉をたくさん採ってきて、船を並べてお仕えしているのは、なんとも貴く見えることだ。
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この歌は山部宿禰赤人(やまべのすくねあかひと)の詠んだ長歌で、おそらくは巻六(九二八)の笠金村(かさのかねむら)の歌などとおなじく神亀二年の聖武天皇(しやうむてんわう)の難波行幸に従駕した時のものでしょう。

「御食(みけ)つ国」は、天皇に食料を奉る国のことで、淡路や、他に志摩(伊勢)など。
「鰒玉(あはびたま)」は「アワビ」のことで、この時代、丸い物には霊力が宿るとして好まれたようです。

歌の内容は、まず天皇が難波の宮に行幸されてそこから国を治められているとして天皇の威光を讃えています。
そして、そんな天皇に食膳を奉仕する国である淡路島の漁師たちが海の底から鰒(あわび)をたくさん採って来る様を詠い、漁師たちの船が並んで天皇にお仕えしている様子をなんとも貴く見えることだ、と讃えています。

笠金村が巻六(九二八)の歌などで難波の宮全体を誉め讃え、車持千年が巻六(九三一)の歌で住吉の浜を讃えて詠んだのに対して、こちらの赤人の歌は海の漁師の姿を通して天皇の威光や難波の宮を褒め讃えた一首となっているわけですね。
そんな同じ行幸の様子を、大きな視点から徐々に細部へと詠い分けて詠んだ宮廷歌人たちの工夫が感じられ興味深い一首のように思います。


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万葉集巻六


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県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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