万葉集入門
万葉集入門
現存する日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

スポンサード リンク


市原王(いちはらのおほきみ)の七夕の歌一首

妹許(いもがり)とわが行く道の川にあれば付目緘結(つくめむす)ぶと夜そ更降(ふけ)にける

巻八(一五四六)
-----------------------------------------------
妻のもとに私が行く道のに川があるので舟に付目を結ぶうちに夜は更けってしまったよ
-----------------------------------------------

この歌は市原王(いちはらのおほきみ)が七夕を詠んだ一首。
市原王は安貴王(あきのおほきみ)の子で、春日王(かすがのおほきみ)の孫。
春日王は志貴皇子(しきのみこ)の子。

歌の内容は「妻のもとに私が行く道のに川があるので舟に付目を結ぶうちに夜は更けってしまったよ」と、牽牛の立場に立って織女のもとへと逸る気持ちを詠った一首となっています。
「付目(つくめ)」とは櫓(ろ)を舟に結ぶ結び目のことで、これを結ぶのに手間取ってしまったのでしょう。
現代に譬えるなら車でデートの約束の場所に向かうのにタイヤがパンクしてしまったような感じにも近いでしょうか。
そんな男のなんとももどかしい気持ちをよく表現していますよね。

ちなみに、この歌はどうやら湯原王(ゆはらのおほきみ)が先の巻八(一五四四)の歌や巻八(一五四五)の歌を詠ったのと同じ場で詠まれたものらしく、おそらく志貴皇子の系統の者たちが集まった七夕の宴の場での歌だったのでしょう。


スポンサード リンク


関連記事
万葉集巻八の他の歌はこちらから。
万葉集巻八


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

万葉集入門(トップページ)へ戻る

当サイトはリンクフリーです、どうぞご自由に。
Copyright(c) 2015 Yoshihiro Kuromichi (plabotnoitanji@yahoo.co.jp)


スポンサード リンク


欲しいと思ったらすぐ買える!楽天市場は24時間営業中

Amazon.co.jp - 通販