万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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三笠山(みかさやま)野辺行く道はこきだくも繁り荒れたるか久(ひさ)にあらなくに

巻二(二三二)
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三笠山の野辺を通る道は草木が茂って荒れているだろうか。皇子が亡くなってからいくらも経っていないのに。
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この歌も巻二(二三一)と同じく志貴皇子(しきのみこ)が亡くなったときに詠まれた挽歌で、先の巻二(二三〇)の長歌に付けられた反歌のうちのひとつ。
作者はやはり笠金村(かさのかなむら)かと思われます。

現在では若草山を三笠山と呼びますが、この歌に詠われている三笠山はいまの御蓋山(みかさやま)のこと。
宮廷歌人の詠む挽歌には、この歌のように皇族が亡くなることでその人の住んでいた土地が荒れてしまったり廃れてしまったことを嘆くのもが多くあります。
この歌でも志貴皇子の宮のあった三笠山の草木が茂り荒れているだろうかと詠うことで、皇子が生きていたところの賑わいを思い出し亡くなった皇子の魂を慰めているわけですね。
あなたが居なくなったことで、この世が以前よりも荒れたものに感じられますよ…と。

みなさんも奈良を訪れられたならぜひ高円山や御蓋山を眺めながら、これらの歌を口ずさんでみてほしいと思います。
そうすることで志貴皇子の存在がより身近に感じられ、万葉に時代の人々の心に直接触れるような実感が湧いてくるはずです。


御蓋山(三笠山)。
奈良の若草山の南に位置しています。


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万葉集巻二の他の歌はこちらから。
万葉集巻二


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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