万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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大津皇子の竊(ひそ)かに石川郎女に婚(あ)ひし時に、津守連通(つもりのむらじとほる)のその事を占(うら)へ露(あら)はすに、皇子の作りませる御歌一首 いまだ詳(つばひ)らかならず

大船(おほふね)の津守(つもり)が占(うら)に告(の)らむとはまさしに知りてわが二人宿(ね)し

巻二(一○九)
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大船の泊まる津守が占いに現すだろうことを知っていながら僕たちは共に寝たのだ!!
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こちらの歌も先の(一○七)と(一○八)の歌に関連する一首のようです。

津守が占いに現すだろうことを知っていて、それでも共に寝たのだ!!と大津皇子が詠っているのですが、これはどういうことなのでしょう?
津守は当時有名な占い師だったようです。
しかし、なぜこの占い師が、大津皇子と石川郎女の関係を占ったのか…
人に頼まれもしないのに勝手に大津皇子と石川郎女の関係を占うようなことがあるのか…

おそらくは何者かの指示により津守はずっと大津皇子を監視していたのではないでしょうか?
もちろん、何者かとは沙羅羅皇女(持統天皇)か草壁皇子以外には考えられませんが、それは政敵としての監視であったのか、もしくは石川郎女との関係を怪しんでの監視であったのかは分かりません。
とにかく、監視されていることを知っていた大津皇子がそれでも石川郎女と二人寝たのだと堂々と詠っているのは、監視に対する不快感をあからさまに表したと取れるでしょう。

そして、この歌で大津皇子は石川郎女と一夜を共にしているわけですから、やはりこの二人の関係は本物であったと解釈したほうが僕には自然な気がします。


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万葉集巻二


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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