万葉集入門
万葉集入門
現存する日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

スポンサード リンク


否(いな)も諾(を)も欲しきまにまに赦(ゆる)すべき貌(かほ)見ゆるかもわれも寄りなむ 三

巻十六(三七九六)
-----------------------------------------------
「いやだ」と言っても「はい」と言ってもこちらの好きなように許してくれそうな翁のお顔に見えます。私も翁の教えに従いましょう
-----------------------------------------------

この歌も、巻十六(三七九四)の歌などと同じく、竹取の翁が詠んだ万葉集巻十六(三七九一)の長歌と二首の歌に、九人の仙女たちが和えて詠んだ歌の一つ。
『「いやだ」と言っても「はい」と言ってもこちらの好きなように許してくれそうな翁のお顔に見えます。私も翁の教えに従いましょう』と、この仙女もまた竹取の翁の歌による教えに心を打たれた様子が詠われています。

ここでは竹取の翁の様子を詠うことで、老人の心の広さを伝え、老人を敬うことの大切さも聞き手に自然に感じさせる内容となっています。
「寄りなむ」とあるのは、「翁に寄る(翁の教えに従う)」意味ですが、先の巻十六(三七九五)の歌からしばらく歌物語としての調子を取ってかこの表現が続いて行きます。


奈良県北葛城郡河合町にあるナガレ山古墳。
広陵町と河合町にまたがる馬見丘陵公園の中にあり、竹取の翁が棲んでいたとされる讃岐神社などからもすぐ近くに位置しています。
5世紀頃に造られた古墳ということで、あるいは竹取の翁もこの古墳を眺めながら竹を取っていたのかも知れませんね。



ナガレ山古墳は掘削されるなど一部破壊されていたのを現代に復元した古墳で、前方後円墳にしては珍しく自由に登ることも出来ます。



ナガレ山古墳は、東半分を製造当時のように石に覆われた形で、西半分を経年変化後の土の覆った形で復元された非常に珍しい前方後円墳です。
この古墳の上に立って竹取公園のあたりを眺めれば、竹取の翁と仙女たちが出逢った光景が目に浮かんでくるようなそんな不思議な気分を味わうことが出来るような、そんな気もします。


スポンサード リンク


関連記事
万葉集巻十六の他の歌はこちらから。
万葉集巻十六


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

万葉集入門(トップページ)へ戻る

当サイトはリンクフリーです、どうぞご自由に。
Copyright(c) 2018 Yoshihiro Kuromichi (plabotnoitanji@yahoo.co.jp)


スポンサード リンク


欲しいと思ったらすぐ買える!楽天市場は24時間営業中

Amazon.co.jp - 通販