万葉集入門
現存する日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
（解説：黒路よしひろ）

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豈（あに）もあらじ己（おの）が身（み）のから人の子の言（こと）も尽（つく）さじわれも寄りなむ　六

巻十六（三七九九）
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どうして異論などありましょう、私のような者の身で人並みの言葉など言いません。私も翁の教えに従いましょう
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この歌も、巻十六（三七九四）の歌などと同じく、竹取の翁が詠んだ万葉集巻十六（三七九一）の長歌と二首の歌に、九人の仙女たちが和えて詠んだ歌の一つ。
この仙女もまた老人を軽んじる態度を取ったことを恥じて「どうして異論などありましょう、私のような者の身で人並みの言葉など言いません。私も翁の教えに従いましょう」と、竹取の翁の教えに従うことを宣言しています。

言葉こそ違え、「どうして異論などありましょう」との内容は先の巻十六（三七九八）の歌の冒頭を引き継いでおり、上手く歌物語としての調子を取っていますね。
「私のような者の身で人並みの言葉など言いません」との表現にも、老人を邪魔者にしたことへの反省の気持ちがよく込められているように感じます。
まあ、この歌も仙女が素直過ぎるといえばその通りですが、それも教戒歌故なのでしょう。


竹取の翁に関連したかぐや姫伝説のある奈良県広陵町の竹取公園。



仙女には出逢えませんでしたが池に龍が泳いでいました（笑）

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万葉集巻十六

万葉集書籍紹介（参考書籍）
万葉集（１）〜〜（４）＆別冊万葉集辞典 中西進　（講談社文庫）　定価６２０円〜〜１０２０円（税込み）
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊＆別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの４冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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