万葉集入門
万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

スポンサード リンク


衾道(ふすまぢ)を引手(ひきて)の山に妹(いも)を置きて山路(やまぢ)思ふに生けりともなし

巻二(二一五)
-----------------------------------------------
衾道を引手の山の中に妻を置いてきたあの山道を思えば生きた心地もしません。
-----------------------------------------------

この歌も柿本朝臣人麿(かきのもとのあそみひとまろ)が妻の死を哀しんで詠んだ挽歌で、巻二(二一三)の長歌に付けられた反歌の一首。

この歌も先の巻二(二一四)の歌と同じく巻二(二一二)の歌の異伝で、四句目以外は巻二(二一二)とまったく同じです。
ただ、わずかな語句の違いでしかありませんがそこから生まれる印象はずいぶんと違ってきますよね。
歌の「調べ(リズム)」などでは巻二(二一二)のほうがはるかに洗練されていますが、人麿が感じた「生きた心地のなさ」はこちらの歌のほうが切迫感を持って詠み手に伝わってくるようなそんな気がします。
万葉集に、同じ歌の異伝が多く掲載されているのも、こういう微妙な違いを編者が読み取りどちらも捨てがたいと感じた結果のことなのでしょう。


スポンサード リンク


関連記事
万葉集巻二の他の歌はこちらから。
万葉集巻二


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

万葉集入門(トップページ)へ戻る

当サイトはリンクフリーです、どうぞご自由に。
Copyright(c) 2015 Yoshihiro Kuromichi (plabotnoitanji@yahoo.co.jp)


スポンサード リンク


欲しいと思ったらすぐ買える!楽天市場は24時間営業中

Amazon.co.jp - 通販