万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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長屋王(ながやのおほきみ)の故郷(ふるさと)の歌一首

わが背子(せこ)が古家(ふるへ)の里の明日香(あすか)には千鳥鳴くなり島待ちかねて

巻三(二六八)
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貴方がむかし住んでいた里の明日香には千鳥が鳴いています。荒廃した庭園にまた新しい島が出来るのを待ちかねて。
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この歌は奈良の京にいる長屋王(ながやのおほきみ)が、明日香の里の島の宮を思い出して詠んだ一首。
長屋王は高市皇子の子で、長屋王の正妃である吉備内親王(きびのひめみこ)は草壁皇子(くさかべのみこ)の娘でした。
草壁皇子については(巻二:一六七)以降を参照

この歌の「わが背子」とは妻の父である草壁皇子のことで、「草壁皇子がむかし住んでいた明日香の里では、千鳥が島の宮の再興を待ちかねて鳴いています」との意味の歌ですね。
草壁皇子は皇太子になりながらも病のために天皇になることなく若くして亡くなりました。
草壁皇子の宮殿のあった島の宮もそれ以降はすっかりと廃れてしまったことがこの長屋王の歌からも想像できますね。
この歌がどのような状況で詠まれたものなのかは分かりませんが、あるいは奈良に遷都後に古き里である明日香の島の宮を訪れた長屋王が、草壁皇子の魂を慰めるために詠んだ鎮魂の一首だったのかも。

草壁皇子と島の宮については、草壁の皇子に仕えていた舎人たちが詠んだ皇子の死を悼む挽歌、巻二(一六八)などもまた参考にしてみてください。


長屋王の正妃の吉備内親王のお墓。
奈良県平群町にある「道の駅 大和路へぐり」の前の道を一キロほど北に行った住宅地の中にあります。
(近鉄平群駅からだと徒歩で10分ほど)。
写真のように住宅地の中に隠れるようにあり、すぐ側には夫の長屋王の墓もあります。



吉備内親王の御墓。
(吉備内親王は天武天皇と持統天皇の皇子である草壁皇子の娘。)
夫の長屋王が謀反を企んだという疑いを掛けられて自害(長屋王の変)させられたとき、吉備内親王も長屋王の用意した毒を飲み共に亡くなりました。
(長屋王の変については巻三:四四一を参照。)


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万葉集巻三の他の歌はこちらから。
万葉集巻三


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万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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