万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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君が行日(ゆきけ)長くなりぬ奈良路なる山斎(しま)の木立(こだち)も神さびにけり

天平二年七月十日

巻五(八六七)
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あなたがお行きになってから長い日が経ちました。奈良のあなたの家の木立もすっかり荒れてしまったことです
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この歌も巻五(八六四)の歌などと同じく、大宰府の大伴旅人(おほとものたびと)からの書簡に、奈良の都の吉田宜(よしだのよろし)が返書した手紙(吉田宜書簡を参照)に添えられた歌のうちのひとつ。

「あなたがお行きになってから長い日が経ちました。奈良のあなたの家の木立もすっかり荒れてしまったことです」と、旅人が大宰府に旅立ってからの日々の長さを思い、旅人が留守にしている奈良の家の木立もすっかり荒れてしまったと、主人の不在を嘆いています。
上の句の「君が行日長くなりぬ」は磐姫皇后(いはのひめのおほきさき)の作とされる巻二(八五)の歌を念頭に置いた表現ですが、宜は古い和歌の知識も豊富だったようですね。
あるいは磐姫皇后の歌がそれだけこの時代の人々の間にも知られていたということでしょうか。

そんなどこか女性が惚れた男を待つ恋歌のようにも読めて、旅人と宜の交流の深さが感じ取れる一首のように思います。

以上、吉田宜が大伴旅人の書簡への返書に添えた四首の歌の解説でした。


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万葉集巻五


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価637円〜〜1145円(税別)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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