万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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後(のち)の人の追ひて和(こた)へたる

山の名と言ひ継げとかも佐用姫(さよひめ)がこの山の上(へ)に領布(ひれ)を振りけむ

巻五(八七二)
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山の名として後の世に語り継げと佐用姫はこの山の上で領布を振ったのだろうか
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この歌も先の巻五(八七一)の歌と同じく、山上憶良(やまのうへのおくら)が佐用比売の伝説を詠み込んだ巻五(八六八) 〜 巻五(八七〇)の歌に影響を受けて、大宰府の官人たちが詠んだ一連の歌のうちのひとつ。
この巻五(八七二)の歌の作者ははっきりとはわからないようですが、大伴旅人の側にいた大宰府の官人の一人なのでしょう。

歌の内容は「山の名として後の世に語り継げと佐用姫はこの山の上で領布を振ったのだろうか」と、伝説の語り継ぎについて詠い、松浦佐用姫(佐用比売)の心を想像しての一首となっています。
一応、「この山の上」と言っていますが、作者はこの時点ではおそらく「領巾麾(ひれふり)の嶺(みね)」ではなくすでに大宰府に帰ってきているのでしょうが、領巾麾の嶺の上に居る自身を仮定して詠むことで歌に風流な要素を盛り込んだわけですね。

さらに大宰府の官人たちの佐用比売伝説の歌が続きます。


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万葉集巻五の他の歌はこちらから。
万葉集巻五


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価637円〜〜1145円(税別)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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