万葉集入門
万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

スポンサード リンク


最最後(いといとのち)の人の追ひて和(こた)へたる二首

海原(うなはら)の沖行く船を帰れとか領布(ひれ)振らしけむ松浦佐用姫(まつらさよひめ)

巻五(八七四)
-----------------------------------------------
海原の沖に去り行く船に帰れと願って領布を振ったのだろうか松浦紗世姫は
-----------------------------------------------

この歌も巻五(八七一)の歌などとおなじく松浦佐用姫の伝説を詠んだ一連の歌のひとつで、この巻五(八七四)の歌と次の巻五(八七五)の歌はどうやら山上憶良の作のようですね。

この憶良の二首の歌をもって松浦佐用姫の伝説を詠んだ一連の歌も終わるわけですが、山上憶良(やまのうへのおくら)が佐用比売の伝説を詠み込んだ巻五(八六八) 〜 巻五(八七〇)の歌に影響を受けた大宰府の官人によってこの一連の歌群が詠まれ、それが一巡してまた最期に憶良の歌で締めるというのはなかなかに面白いですよね。

歌の内容は「海原の沖に去り行く船に帰れと願って領布を振ったのだろうか松浦紗世姫は」と、この歌でも領布を振った佐用姫の心を想像してその哀しさに思いを馳せた内容となっています。
これらの一群の歌が詠まれた背景については詳しいことはわかりませんが、松浦遊行から帰って来た大伴旅人(おほとものたびと)たちが山上憶良も交えた宴の席で憶良の歌に追和したのだとすると、その最後の返礼として憶良自身が自分の歌を披露して詠いまとめたといったところでしょうか。

なんだか大宰府の人々の酔い騒ぐ宴の声まで聞こえてくるような、そんな息遣いも感じられる一連ですよね。


スポンサード リンク


関連記事
万葉集巻五の他の歌はこちらから。
万葉集巻五


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価637円〜〜1145円(税別)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

万葉集入門(トップページ)へ戻る

当サイトはリンクフリーです、どうぞご自由に。
Copyright(c) 2015 Yoshihiro Kuromichi (plabotnoitanji@yahoo.co.jp)


スポンサード リンク


欲しいと思ったらすぐ買える!楽天市場は24時間営業中

Amazon.co.jp - 通販