万葉集入門
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現存する日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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春の野の下草靡(したくさなび)きわれも寄りにほひ寄(よ)りなむ友のまにまに 九

巻十六(三八〇二)
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春の野の下草が靡き寄るように私も靡き寄って翁の教えに従いましょう。仲間と一緒に
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この歌も、巻十六(三七九四)の歌などと同じく、竹取の翁が詠んだ万葉集巻十六(三七九一)の長歌と二首の歌に、九人の仙女たちが和えて詠んだ歌でこの歌物語最後の一首。

歌の内容は「春の野の下草が靡き寄るように私も靡き寄って翁の教えに従いましょう。仲間と一緒に」と、それまでの仙女たちの歌の「われも寄りなむ」の表現を歌の三句に用い、さらに先の巻十六(三八〇一)の歌と同じく「にほふ」も用いることで、大きな統一感を出して歌物語の最期を締めくくっています。

これらの竹取の翁と仙女たちの歌物語は、あるいは原型になるものが民衆の伝承歌としてあったものを、後に京の貴族や官人などの手によって教戒歌としてまとめなおされたものでしょうか。
他の仙女の歌の解説でも指摘したように、その説教臭さにはどこか万葉集巻五で見たような山上憶良(やまのうへのおくら)の影響を感じなくもないですが、憶良の手が加わっているとの明確な証もないようです。

まるで春の野で見た幻想のような感じもする竹取の翁と仙女たちの歌物語ですが、かぐや姫伝説も含めて、古の春の野で起こった出来事をあれこれと想像しながら現代の竹取公園を歩いてみるのも楽しいのではないでしょうか。


春の竹取公園(奈良県広陵町)。



竹取公園横の竹林。



竹取公園や隣接する馬見丘陵公園では、春になると様々の美しい花に出逢うことが出来ます。



竹取の翁が春の野で出逢ったのも、ほんとうはこんな美しい花たちが見せた幻想だったのかも知れませんね^^



そんなことを考えながら現代の竹取公園や馬見丘陵公園を散策してみるのも楽しいかと思います。



みなさんもぜひ、翁や仙女たちの歌を口ずさみながら、春の竹取公園や馬見丘陵公園を歩いてみてください。
きっと、竹取の翁のように、仙女たちに出逢ったような不思議な感覚がするはずです。

以上、竹取の翁と仙女たちの歌物語でした。


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万葉集巻十六


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万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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