万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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荒栲(あらたへ)の布衣(ぬのきぬ)をだに着せかてに斯(か)くや嘆かむ為(せ)むすべを無み

巻五(九〇一)
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粗末な荒い栲の布衣すら着せてやることも出来ないでこのように嘆くのだろうか、どうする術もなく
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この歌も巻五(八九八)の歌などと同じく、山上憶良(やまのうへのおくら)が老いて病を重ねる自身の身を嘆いて詠んだ七首の歌のひとつで、巻五(八九七)の長歌に付けられた反歌のうちのひとつ。
先の巻五(九〇〇)の歌で、裕福な家のこと自身の子を比較して、その貧富の差を嘆いた憶良でしたが、こちらの歌でも「粗末な荒い栲の布衣すら着せてやることも出来ないでこのように嘆くのだろうか、どうする術もなく」と、我が子の不憫を嘆いています。

ただ、さすがに高級官僚である憶良の子が着る服も無いほどに貧しいとはちょっと思えないので、これも憶良の死後のことを想像しての一首でしょうか。
あるいは「貧窮問答の歌」 のように、病の床で民衆の貧窮を思い、自分が死んだ後の我が子の将来を案じたのかも知れませんね。
まあ、自分の死後の家族の暮らしを心配するのは、憶良に限らずわれわれ現代人でもきっと同じですよね。


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万葉集巻五


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価637円〜〜1145円(税別)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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