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万葉集入門
万葉集入門
現存する日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(サイト制作者:黒路よしひろ)

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万葉集全巻一覧
万葉集の全巻の歌一覧ページです。

万葉集全歌一覧(巻一 〜 巻四)

万葉集全歌一覧(巻五 〜 巻八)

巻一  巻二  巻三  巻四

巻五  巻六  巻七  巻八

(以降の巻もまた追加していきます)

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万葉集巻一

一:籠よみ籠持ち掘串もよ
(雄略天皇)


二:大和には郡山あれど
(舒明天皇)


三:やすみしし わご大君 朝には
(中皇女の間人老)


四:たまきはる宇智の大野に馬並めて
(中皇女の間人老)


五:霞経つ 長き春日の 暮れにける わづきも知らず
(軍王)


六:山越しの風を時じみ寝る夜おちず
(軍王)


七:秋の野のみ草刈葺き宿れりし
(額田王)


八:熟田津に船乗りせむと月待てば
(額田王)


九:莫囂圓隣之大兄爪湯気わが背子が
(額田王)


十:君が代もわが代も知るや磐代の
(中皇命)


十一:わが背子は仮廬作らす草無くは
(中皇命)


十二:わが欲りし野島は見せつ底深き
(中皇命)


十三:香具山は畝傍ををしと
(中大兄皇子〔天智天皇〕)


十四:香具山と耳梨山とあひし時
(中大兄皇子〔天智天皇〕)


十五:わたつみの豊旗雲に入日射し
(中大兄皇子〔天智天皇〕)


十六:冬ごもり春さり来れば鳴かざりし
(額田王)


十七:美酒三輪の山あをによし
(額田王)


十八三輪山をしかも隠すか雲だにも
(額田王)


十九:へそがたの林のさきの狭野榛の
(井戸王)


二〇:あかねさす紫野行き
(額田王)


二一:紫草のにほへる妹を
(大海人皇子〔天武天皇〕)


二二:河の上のゆつ岩群に草生さず
(吹黄刀自)


二三:打つ麻を麻続王海人なれや
(不明)


二四:うつせみの命を惜しみ浪にぬれ
(麻続王)


二五:み吉野の 耳我の峰に 時なくそ
(天武天皇)


二六:み吉野の 耳我の峰に 時じくそ
(天武天皇)

二七:よき人のよしとよく見てよしと言ひし
(天武天皇)


二八:春過ぎて夏来るらし
(持統天皇)


二九:玉襷 畝火の山の 橿原の 日知の御代ゆ
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕)


三〇:ささなみの志賀の辛崎幸くあれど
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕)


三一:ささなみの志賀の大わだ淀むとも
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕)


三二:古の人にわれあれやささなみの
(高市古人)


三三:ささなみの国つ御神の心(うら)さびて
(高市古人)


三四:白波の浜松が枝の手向草
(川島皇子)


三五:これやこの大和にしてはわが恋ふる
(阿閉皇女〔元明天皇〕)


三六:やすみしし わご大君の 聞し食す 天の下に
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕)


三七:見れど飽かぬ吉野の河の常滑の
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕)


三八:やすみしし わご大君 神ながら 神さびせすと 吉野川
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕)


三九:山川も依(よ)りて仕ふる神ながら
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕)


四〇:嗚呼見の浦に船乗りすらむ感嬬らが
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕)


四一:くしろ着く手節の崎に今日もかも
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕)


四二:潮騒に伊良虞の島辺漕ぐ船に
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕)


四三:わが背子は何処行くらむ奥つもの
(當麻真人麿〔當麻真人麻呂〕の妻)


四四:吾妹子をいざ見の山を高みかも
(石川麿〔石川麻呂〕)


四五:やすみしし わご大君 高照らす 日の御子
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕)


四六:阿騎の野に宿る旅人打ち靡き
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕)


四七:ま草刈る荒野にはあれど黄葉の
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕)


四八:東の野に炎の立つ見えて
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕)


四九:日並皇子の命の馬並めて
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕)


五〇:やすみしし わご大王 高照らす 日の皇子 荒栲の
(藤原宮の役民)


五一:采女の袖吹きかえす明日香風
(志貴皇子)


五二:やすみしし わご大王 高照らす 日の御子 荒栲の
(不明)


五三:藤原の大宮仕へ生れつぐや
(不明)


五四:巨勢山のつらつら椿つらつらに
(坂門人足)


五五:あさもよし紀人羨しも亦打山
(調首淡海)


五六:河の辺のつらつら椿つらつらに
(春日蔵首老)


五七:引馬野ににほふ榛原入り乱れ
(長忌寸奥麿〔長忌寸奥麻呂〕)

五八:何処にか船泊てすらむ安礼の崎
(高市連黒人)


五九:ながらふる妻吹く風の寒き夜に
(誉謝女王)

六〇:暮に逢ひて朝面無み隠にか
(長皇子)

六一:丈夫の得物矢手挿み立ち向かひ
(舎人娘子)


六二:ありねよし対馬の渡り海中に
(春日蔵首老)


六三:いざ子ども早く日本へ大伴の
(山上憶良)


六四:葦辺行く鴨の羽がひに霜降りて
(志貴皇子)

六五:あられ打つあられ松原住吉の弟
(長皇子)


六六:大伴の高師の浜の松が根を
(置始東人)

六七:旅にして物恋しきに○○音も
(高安大島)

六八:大伴の御津の浜にある忘れ貝
(身人部王)


六九:草枕旅行く君と知らませば
(清江娘子)


七〇:大和には鳴きて来らむ呼子鳥
(高市連黒人〔高市古人〕)


七一:大和恋ひ眠の寝らえぬに
(忍坂部乙麿〔忍坂部乙麻呂〕)

七二:玉藻刈る沖辺は漕がじ敷栲の
(藤原宇合)


七三:吾妹子を早見浜風大和なる
(長皇子)


七四:み吉野の山の嵐の寒けくに
(文武天皇)


七五:宇治間山朝風寒し旅にして
(長屋王)


七六:ますらをの鞆の音すなりもののべの
(元明天皇)


七七:わご大君物な思ほし皇神の
(御名部皇女)


七八:飛鳥の明日香の里を置きて去なば
(不明〔持統天皇?〕)


七九:天皇の 御命かしこみ 柔びにし 家をおき 隠国の
(不明)


八〇:あをによし寧楽の家には万代に
(不明)


八一:山の辺の御井を見がてり神風の
(長田王)


八二:うらさぶる情さまねしひさかたの
(長田王)


八三:海の底奥つ白波立田山
(長田王)


八四:秋さらば今も見るごと妻恋ひに
(長皇子)


巻一:完
巻一についても今後もまた各歌の解説で写真などを追加していく予定です。

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万葉集巻二

八五:君が行き日長くなりぬ山たづね
(磐姫皇后)


八六:かくばかり恋ひつつあらずは高山の
(磐姫皇后)


八七:ありつつも君をば待たむ打ち靡く
(磐姫皇后)


八八:秋の田の穂の上に霧らふ朝霞
(磐姫皇后)


八九:居明かして君をば待たむぬばたまの
(磐姫皇后)


九〇:君が行き日長くなりぬ山たづの
(衣通王)


九一:妹が家を継ぎて見ましを大和なる
(天智天皇)


九二:秋山の樹の下隠り逝く水の
(鏡王女)


九三:玉くしげ覆ふを安み開けていなば
(鏡王女)


九四:玉くしげみむまど山のさなかづら
(藤原鎌足)


九五:われはもや安見児得たり皆人の
(藤原鎌足)


九六:み薦刈る信濃の真弓わが引かば
(久米禅師)


九七:み薦刈る信濃の真弓引かずして
(石川郎女)


九八:梓弓引かばまにまに依らめども
(石川郎女)


九九:梓弓弦緒取りはけ引く人は
(久米禅師)


一〇〇:東人の荷向の篋の荷の緒にも
(久米禅師)


一〇一:玉葛実ならぬ樹にはちはやぶる
(大伴宿禰安麿)


一〇二:玉葛花のみ咲きて成らざるは
(巨勢郎女)


一〇三:わが里に大雪降れり大原の
(天武天皇)


一〇四:わが岡のおかみに言ひて落らしめし
(藤原夫人)


一〇五:わが背子を大和へ遣るとさ夜深けて
(大伯皇女〔大来皇女〕)


一〇六:二人行けど行き過ぎ難き秋山を
(大伯皇女〔大来皇女〕)


一〇七:あしひきの山のしづくに妹待つと
(大津皇子)


一〇八:吾を待つと君が濡れけむあしひきの
(石川郎女)


一〇九:大船の津守が占に告らむとは
(大津皇子)


一一〇:大名児が彼方野辺に刈る草の
(日並皇子尊〔草壁皇子〕)


一一一:古に恋ふる鳥かも弓絃葉の
(弓削皇女)


一一二:古に恋ふらむ鳥は雀公鳥
(額田王)


一一三:み吉野の玉松が枝は愛しきかも
(額田王)


一一四:秋の田の穂向の寄れるかた寄りに
(但馬皇女)


一一五:後れ居て恋ひつつあらずは追ひ及かむ
(但馬皇女)


一一六:人言を繁み言痛み己が世に
(但馬皇女)


一一七:丈夫や片恋ひせむと嘆けども
(舎人皇子)


一一八:嘆きつつ丈夫の恋ふれこそ
(舎人娘子)


一一九:吉野川逝く瀬の早みしましくも
(弓削皇子)


一二〇:吾妹児に恋ひつつあらずは秋萩の
(弓削皇子)


一二一:夕さらば潮満ち来なむ住吉の
(弓削皇子)


一二二:大船の泊つる泊りのたゆたひに
(弓削皇子)


一二三:たけばぬれたかねば長き妹が髪
(三方沙弥)


一二四:人皆は今は長しとたけと言へど
(園臣生羽の女)


一二五:橘の蔭履む路の八衢に
(三方沙弥)


一二六:遊士とわれは聞けるを屋戸貸さず
(石川女郎)


一二七:遊士にわれはありけり屋戸貸さず
(大伴宿禰田主)


一二八:わが聞きし耳に好く似る葦のうれの
(石川女郎)


一二九:古りにし嫗にしてやかくばかり
(石川女郎)


一三〇:丹生の河瀬は渡らずてゆくゆくと
(長皇子)

一三一:石見の海 角の浦廻を 浦なしと 人こそ見らめ
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕)


一三二:石見のや高角山の木の際より
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕)


一三三:小竹の葉はみ山もさやに乱げども
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕)


一三四:石見なる高角山の木の際ゆも
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕)


一三五:つのさはふ 石見の海の 言さへく 韓の崎なる
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕)


一三六:青駒の足掻を早み雲居にそ
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕)


一三七:秋山に落つる黄葉しましくは
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕)


一三八:石見の海 津の浦を無み 浦無しと 人こそ見らめ
(柿本人麻呂)


一三九:石見の海打田の山の木の際より
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕)


一四〇:な思ひと君は言へども逢はむ時
(依羅娘子)


一四一:盤代の浜松が枝を引き結び
(有間皇子)


一四二:家にあれば笥に盛る飯を草枕
(有間皇子)


一四三:磐代の岸の松が枝結びけむ
(長忌寸意吉麿〔長忌寸意吉麻呂〕)


一四四:磐代の野中に立てる結び松
(長忌寸意吉麿〔長忌寸意吉麻呂〕)


一四五:天翔りあり通ひつつ見らめども
(山上憶良)


一四六:後見むと君が結べる磐代の
(柿本朝臣人麿歌集〔柿本朝臣人麻呂歌集〕)


一四七:天の原振り放け見れば大君の
(倭大后)


一四八:青旗の木幡の上をかよふとは
(倭大后)


一四九:人はよし思ひ止むとも玉鬘
(倭大后)


一五〇:うつせみし 神に堪へねば 離り居て 朝嘆く君
(婦人)


一五一:かからむの懐知りせば大御船
(額田王)


一五二:やすみししわご大君の大御船
(舎人吉年)


一五三:鯨魚取り 淡海の海を 沖放けて 漕ぎ来る船
(倭大后)


一五四:ささ浪の大山守は誰がためか
(石川夫人)


一五五:やすみしし わご大君の かしこきや 御陵仕ふる
(額田王)


一五六:三諸の神の神杉夢のみに
(高市皇子)


一五七:神山の山辺真麻木綿短木綿
(高市皇子)


一五八:山振の立ち儀ひたる山清水
(高市皇子)


一五九:やすみしし わご大君の 夕されば 見し賜ふらし
(沙羅羅大后〔持統天皇〕)


一六〇:燃ゆる火も取りて裹みて袋には
(沙羅羅大后〔持統天皇〕)


一六一:神山にたなびく雲の青雲の
(沙羅羅大后〔持統天皇〕)


一六二:明日香の 清御原の宮に 天の下 知らしめしし
(沙羅羅大后〔持統天皇〕)


一六三:神風の伊勢の国にもあらましを
(大伯皇女〔大来皇女〕)


一六四:見まく欲りわがする君もあらなくに
(大伯皇女〔大来皇女〕)


一六五:うつそみの人にあるわれや明日よりは
(大伯皇女〔大来皇女〕)


一六六:磯の上に生ふる馬酔木を手折らめど
(大伯皇女〔大来皇女〕)


一六七:天土の 初の時 ひさかたの 天の河原に
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕)


一六八:ひさかたの天見るごとく仰ぎ見し
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕)


一六九:あかねさす日は照らせれどぬばたまの
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕)


一七〇:島の宮匂の池の放ち鳥
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕)


一七一:高光るわが日の皇子の万世に
(草壁皇子の舎人)


一七二:島の宮上の池なる放ち
(草壁皇子の舎人)


一七三:高光るわが日の皇子のいましせば
(草壁皇子の舎人)


一七四:よそに見し檀の岡も君ませば
(草壁皇子の舎人)


一七五:夢にだに見ざりしものをおほほしく
(草壁皇子の舎人)


一七六:天地と共に終へむと思ひつつ
(草壁皇子の舎人)


一七七:朝日照る佐太の岡部に群れ居つつ
(草壁皇子の舎人)


一七八:み立たしし島を見る時にはたづみ
(草壁皇子の舎人)


一七九:橘の島の宮には飽かねかも
(草壁皇子の舎人)


一八〇:み立たしし島をも家と住む鳥も
(草壁皇子の舎人)


一八一:み立たしし島の荒磯を今見れば
(草壁皇子の舎人)


一八二:塒立て飼ひし鴈の子巣立ちなば
(草壁皇子の舎人)


一八三:わが御門千代永久に栄えむと
(草壁皇子の舎人)


一八四:東の滝の御門に伺侍へど
(草壁皇子の舎人)


一八五:水伝ふ磯の浦廻の石上つつじ
(草壁皇子の舎人)


一八六:一日には千たび参りし東の
(草壁皇子の舎人)


一八七:つれも無き佐太の岡辺にかへり居ば
(草壁皇子の舎人)


一八八:朝曇り日の入りぬればみ立たしし
(草壁皇子の舎人)


一八九:朝日照る島の御門におほほしく
(草壁皇子の舎人)


一九〇:真木柱太き心はありしかど
(草壁皇子の舎人)


一九一:褻ころもを春冬片設けて幸しし
(草壁皇子の舎人)


一九二:朝日照る佐太の岡辺に鳴く鳥の
(草壁皇子の舎人)


一九三:はたこらが夜昼と言わず行く路を
(草壁皇子の舎人)


一九四:飛鳥の 明日香の河の 上つ瀬に 生ふる玉藻は
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕)


一九五:敷栲の袖かへし君玉垂の
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕


一九六:飛鳥の 明日香の河の 上つ瀬に 石橋渡し
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕


一九七:明日香川しがらみ渡し塞かませば
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕


一九八:明日香川明日だに見むと思へやも
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕


一九九:かけまくも ゆゆしきかも 言はまくも あやに畏き
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕


二〇〇:ひさかたの天知らしぬる君ゆえに
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕


二〇一:埴安の池の堤の隠沼の
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕


二〇二:泣沢の神社に神酒すゑ祷祈れども
(檜隈女王)


二〇三:降る雪はあはにな降りそ吉隠の
(穂積皇子)


二〇四:やすみしし わご大君 高光る 日の皇子
(置始東人)


二〇五:大君は神にし座せば天雲の
(置始東人)


二〇六:ささなみの志賀さされ波しくしくに
(置始東人?)

二〇七:天飛ぶや 軽の路は 吾妹子が 里にしあれば
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕


二〇八:秋山の黄葉を茂み迷ひぬる
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕


二〇九:黄葉の散りゆくなへに玉梓の
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕


二一〇:うつせみと 思ひし時に たづさへて わが二人見し
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕


二一一:去年見てし秋の月夜は照らせども
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕


二一二:衾道を引手の山に妹を置きて
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕


二一三:うつせみと 思ひし時に 携へて わが二人見し
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕


二一四:去年見てし秋の月夜は渡れども
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕


二一五:衾道を引手の山に妹を置きて
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕


二一六:家に来てわが屋を見れば玉床の
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕


二一七:秋山の したへる妹 なよ竹の とをよる子らは
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕


二一八:楽浪の志賀津の子らが罷道の
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕


二一九:天数ふ凡津の子が逢ひし日に
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕


二二〇:玉藻よし 讃岐の国は 国柄か 見れども飽かぬ
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕


二二一:妻もあらば採みてたげまし佐美の山
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕


二二二:沖つ波来よる荒磯を敷栲の
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕


二二三:鴨山の岩根し枕けるわれをかも
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕


二二四:今日今日とわが待つ君は石川の
(依羅娘子)


二二五:直の逢ひは逢ひかつましじ
(依羅娘子)


二二六:荒波に寄りくる玉を枕に置き
(丹比真人)


二二七:天離る夷の荒野に君を置きて
(作者不詳)


二二八:妹が名は千代に流れむ姫島の
(河辺宮人)


二二九:難波潟潮干なありそね沈みにし
(河辺宮人)


二三〇:梓弓 手に取り持ちて 丈夫の 得物矢手ばさみ
(笠金村)


二三一:高円の野辺の秋萩いたづらに
(笠金村)


二三二:三笠山野辺行く道はこきだくも
(笠金村)


二三三:高円の野辺の秋萩な散りそね
(笠金村)


二三四:三笠山野辺ゆ行く道こきだくも
(笠金村)


巻二:完
巻二についても今後もまた各歌の解説で写真などを追加していく予定です。



万葉集巻三

二三五:大君は神にし座せば天雲の
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕


二三六:不聴と言へど強ふる志斐のが強語
(持統天皇)


二三七:否と言へど語れ語れと詔らせこそこ
(中臣志斐)


二三八:大宮の内まで聞こゆ網引すと
(長忌寸意吉麿〔長忌寸意吉麻呂〕)


二三九:やすみしし わご大王 高光る わが日の皇子の
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕


二四〇:ひさかたの天ゆく月を網に刺し
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕


二四一:皇は神にし坐せば真木の立つ
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕


二四二:滝の上の三船の山に居る雲の
(弓削皇子)


二四三:王は千歳に座さむ白雲も
(春日王)


二四四:三吉野の御船の山に立つ雲の
(弓削皇子)


二四五:聞くが如まこと貴く奇しくも
(長田王)


二四六:葦北の野坂の浦ゆ船出して
(長田王)


二四七:沖つ波辺波立つともわが背子が
(石川丈夫)


二四八:隼人の薩摩の迫門を雲居なす
(長田王)

二四九:御津の崎波を恐み隠り江の
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕)


二五〇:珠藻刈る敏馬を過ぎて夏草の
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕)


二五一:淡路の野島の崎の浜風に
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕)


二五二:荒栲の藤江の浦に鱸釣る
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕)


二五三:稲日野も行き過ぎかてに思へれば
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕)


二五四:留火の明石大門に入る日にか
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕)


二五五:天離る夷の長通ゆ恋ひ来れば
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕)


二五六:飼飯の海の庭好くあらし刈薦の
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕)


二五七:天降りつく 天の香具山 霞立つ 春に至れば
(鴨君足人)


二五八:人漕がずあらくも著し潜きする
(鴨君足人)


二五九:何時の間に神さびけるか香山の
(鴨君足人)


二六〇:天降りつく 神の香山 打ち靡く 春さり来れば
(鴨君足人)


二六一:やすみしし わご大君 高輝らす 日の皇子 しきいます
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕


二六二:矢釣山木立も見えず降りまがふ
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕


二六三:馬いたく打ちてな行きそ日ならべて
(刑部垂麻呂〔刑部垂麿〕)

二六四:もののふの八十氏河の網代木に
(柿本人麻呂〔柿本人麿〕)


二六五:苦しくも降り来る雨か神の崎
(長忌寸奥麿〔長忌寸奥麿〕)

二六六:淡海の海夕波千鳥汝が鳴けば
(柿本人麻呂〔柿本人麿〕)


二六七:むささびは木末求むとあしひきの
(志貴皇子)


二六八:わが背子が古家の里の明日香には
(長屋王)


二六九:人見ずはわが袖もちて隠さむを
(阿部女郎)

二七〇:旅にして物恋しきに山下の
(高市黒人)


二七一:桜田へ鶴鳴き渡る年魚市潟
(高市黒人)


二七二:四極山うち越え見れば笠縫の
(高市黒人)


二七三:磯の崎漕ぎ廻み行けば近江の海
(高市黒人)


二七四:わが船は比良の湊に漕ぎ泊てむ
(高市黒人)


二七五:何処にかわれは宿らむ高島の
(高市黒人)


二七六:妹もわれも一つなれかも三河なる
(高市黒人)

二七七:とく来ても見てましものを山城の
(高市黒人)

二七八:志賀の海人は藻刈り塩焼き暇なみ
(石川君子〔石川吉美侯〕)


二七九:吾妹子に猪名野は見せつ名次山
(高市黒人)


二八〇:いざ児ども大和へ早く白菅の
(高市黒人)


二八一:白菅の真野の榛原往くさ来さ
(黒人の妻)


二八二:つのさはふ磐余も過ぎず泊瀬山
(春日老)


二八三:住吉の得名津に立ちて見渡せば
(高市黒人)


二八四:焼津辺にわが行きしかば駿河なる
(春日老)


二八五:栲領巾の懸けまく欲しき妹の名を
(丹比笠麿)


二八六:宜しなへわが背の君の負ひ来にし
(春日老)


二八七:ここにして家やも何処白雲の
(石川卿)


二八八:わが命し真幸くあらばまたも見む
(穂積老)


二八九:天の原ふりさけ見れば白真弓
(間人大浦)


二九〇:倉橋の山を高みか夜ごもりに
(間人大浦)


二九一:真木の葉のしなふ勢の山忍はずて
(小野事主)


二九二:ひさかたの天の深女の石船の
(角麻呂〔角麿〕)

二九三:塩干の三津の海女のくぐつ持ち
(角麻呂〔角麿〕)


二九四:風を疾み沖つ白波高からし
(角麻呂〔角麿〕)


二九五:住吉の岸の松原遠つ神
(角麻呂〔角麿〕)

二九六:廬原の浄見の崎の三保の浦の
(田口益人)


二九七:昼見れど飽かぬ田児の浦大君の
(田口益人)

二九八:亦打山夕越え行きて廬前の
(弁其〔春日老〕)


二九九:奥山の菅の葉しのぎ降る雪の
(大伴安麻呂〔大伴安麿〕)

三〇〇:佐保過ぎて寧楽の手向に置く幣は
(長屋王)


三〇一:磐が根のこごしき山を越えかねて
(長屋王)


三〇二:児らが家道やや間遠きをぬばたまの
(安倍広庭〔阿倍広庭〕)

三〇三:名くはしき稲見の海の沖つ波
(柿本人麻呂〔柿本人麿〕)


三〇四:大君の遠の朝廷とあり通ふ
(柿本人麻呂)


三〇五:かくゆゑに見じといふものを楽浪の
(高市黒人)


三〇六:伊勢の海の沖つ白波花にもが
(安貴王)


三〇七:はだ薄久米の若子が座しける
(博通法師)


三〇八:常盤なる石室は今もありけれど
(博通法師)


三〇九:石室戸に立てる松の樹汝を見れば
(博通法師)


三一〇:東の市の植木の木足るまで
(門部王)


三一一:梓弓引き豊国の鏡山
(鞍作益人)


三一二:昔こそ難波田舎と言はれけめ
(藤原宇合)


三一三:み吉野の滝の白波知らねども
(土理宣令)


三一四:さざれ波磯越道なる能登湍河
(波多小足)


三一五:み吉野の 芳野の宮は 山柄し 貴くあらし
(大伴旅人)


三一六:昔見し象の小河を今見れば
(大伴旅人)


三一七:天地の 分れし時ゆ 神さびて 高く貴き 駿河なる
(山部赤人〔山辺赤人〕)


三一八:田児の浦ゆうち出て見れば真白にそ
(山部赤人〔山辺赤人〕)


三一九:なまよみの 甲斐の国 うち寄する 駿河の国と
(笠金村?)


三二〇:不尽の嶺に降り置く雪は六月の
(笠金村?)


三二一:不尽の嶺を高み恐み天雲も
(高橋虫麻呂?)


三二二:皇神祖の 神の命の 敷きいます 国のことごと
(山部赤人〔山辺赤人〕


三二三:ももしきの大宮人の飽田津に
(山部赤人〔山辺赤人〕)


三二四:三諸の 神名備山に 五百枝さし 繁に生ひたる
(山部赤人〔山辺赤人〕)


三二五:明日香河川淀さらず立つ霧の
(山部赤人〔山辺赤人〕)


三二六:見渡せば明石の浦に燭す火の
(門部王)


三二七:海若の沖に持ち行きて放つとも
(通観僧)


三二八:あをによし寧楽の京師は咲く花の
(小野老)


三二九:やすみししわご大君の敷きませる
(大伴四綱)


三三〇:藤波の花は盛りになりにけり
(大伴四綱)


三三一:わが盛また変若めやもほとほとに
(大伴旅人)


三三二:わが命も常にもあらぬか昔見し
(大伴旅人)


三三三:浅茅原つばらつばらにも思へば
(大伴旅人)


三三四:わすれ草わが紐に付く香具山の
(大伴旅人)


三三五:わが行きは久にはあらじ夢のわだ
(大伴旅人)


三三六:しらぬひ筑紫の綿は身につけて
(沙弥満誓)


三三七:憶良らは今は罷らむ子泣くらむ
(山上憶良)


三三八:験なき物を思はずは一杯の
(大伴旅人)


三三九:酒の名を聖と負せし古の
(大伴旅人)


三四〇:古の七の賢き人どもも
(大伴旅人)


三四一:賢しみと物いふよりは酒飲みて
(大伴旅人)


三四二:言はむすべせむすべ知らず極まりて
(大伴旅人)


三四三:なかなかに人とあらずは酒壺に
(大伴旅人)


三四四:あな醜賢しらをすと酒飲まぬ
(大伴旅人)


三四五:値無き宝といふも一杯の
(大伴旅人)


三四六:夜光る玉といふとも酒飲みて
(大伴旅人)


三四七:世のなかの遊びの道にすすしくは
(大伴旅人)


三四八:この世にし楽しくあらば来む世には
(大伴旅人)


三四九:生ける者つひにも死ぬるものにあれば
(大伴旅人)


三五〇:黙然をりて賢しらするは酒飲みて
(大伴旅人)


三五一:世間を何に譬へむ朝びらき
(沙弥満誓)


三五二:葦へには鶴が音鳴きて湖風
(若湯座王)


三五三:み吉野の高城の山に白雲は
(通観僧〔釈通観〕)


三五四:繩の浦に塩焼くけぶり夕されば
(日置少老)


三五五:大汝少彦名おいましけむ
(生石村主真人)


三五六:今日もかも明日香の川の夕さらず
(村主上古麻呂〔村主上古麿〕)


三五七:繩の浦ゆ背向に見ゆる沖つ島
(山部赤人〔山辺赤人〕)


三五八:武庫の浦を漕ぎ廻る小舟粟島を
(山部赤人〔山辺赤人〕)


三五九:阿倍の島鵜の住む礒に寄する波
(山部赤人〔山辺赤人〕)


三六〇:潮干なば玉藻刈り蔵め家の妹が
(山部赤人〔山辺赤人〕)


三六一:秋風の寒き朝明を佐農の岡
(山部赤人〔山辺赤人〕)

三六二:みさごゐる磯廻に生ふる名乗藻の
(山部赤人〔山辺赤人〕)


三六三:みさごゐる荒磯に生ふる名乗藻の
(山部赤人〔山辺赤人〕)

三六四:大夫の弓上振り起し射つる矢を
(笠金村)


三六五:塩津山うち越え行けば我が乗れる
(笠金村)


三六六:越の海の 角鹿の浜ゆ 大船に 真梶貫きおろし
(笠金村)


三六七:越の海の手結が浦を旅にして
(笠金村)

三六八:大船に真梶繁貫き大君の
(石上大夫)


三六九:もののふの臣の壮士は大君の
(笠金村?)


三七〇:雨降らずとの曇る夜の濡れひづと
(阿倍広庭〔安倍広庭〕)


三七一:飫宇の海河原の千鳥汝が鳴けば
(門部王)


三七二:春日を 春日の山の 高座の 三笠の山に
(山部赤人〔山辺赤人〕)


三七三:高座の三笠の山に鳴く鳥の
(山部赤人〔山辺赤人〕)


三七四:雨ふらば着むと思へる笠の山
(石上乙麻呂〔石上乙麿〕)


三七五:吉野なる夏実の河の川淀に
(湯原王)


三七六:あきづ羽の袖振る妹を玉くしげ
(湯原王)


三七七:青山の嶺の白雲朝に日に
(湯原王)


三七八:古のふるき堤は年深み
(山部赤人〔山辺赤人〕)

三七九:ひさかたの 天の原より 生れ来たる 神の命
(大伴坂上郎女)


三八〇:木綿畳手に取り持ちてかくだにも
(大伴坂上郎女)


三八一:家思ふとこころ進むな風守り
(筑紫の娘子〔児島〕)

三八二:鶏が鳴く 東の国に 高山は 多にあれども
(丹比真人国人)


三八三:筑羽嶺を外のみ見つつありかねて
(丹比真人国人)


三八四:わが屋戸に韓藍蒔き生し枯れぬれど
(山部赤人〔山辺赤人〕)


三八五:あられふる吉志美が岳を険しみと
(味稲?)


三八六:この夕柘のさ枝の流れ来ば
(作者不明)


三八七:古に梁打つ人の無かりせば
(若宮年魚麿)


三八八:海若は 霊しきものか 淡路島 中に立て置きて
(作者不明)


三八九:島伝ひ敏馬の崎を漕ぎ廻れば
(作者不明)


三九〇:軽の池の浦廻行き廻る鴨すらに
(紀皇女)


三九一:鳥総立て足柄山に船木伐り
(沙弥満誓)

三九二:ぬばたまのその夜の梅をた忘れて
(大伴百代)


三九三:見えずとも誰恋ひざらめ山の末に
(沙弥満誓)


三九四:標結ひてわが定めてし住吉の
(余明軍)


三九五:託馬野に生ふる紫草衣に染め
(笠郎女)


三九六:陸奥の真野の草原遠けども
(笠女郎)


三九七:奥山の岩本菅を根深めて
(笠女郎)

三九八:妹が家に咲きたる梅の何時も何時も
(藤原八束)


三九九:妹が家に咲きたる花の梅の花
(藤原八束)


四〇〇:梅の花咲きて散りぬと人はいへど
(大伴駿河麻呂)


四〇一:山守のありける知らにその山に
(大伴坂上郎女)


四〇二:山主はけだしありとも吾妹子が
(大伴駿河麿)


四〇三:朝に日に見まく欲りするその玉を
(大伴家持)


四〇四:ちはやぶる神の社し無かりせば
(娘子)


四〇五:春日野に粟蒔けりせば鹿待ちに
(佐伯赤麿〔佐伯赤麻呂〕)


四〇六:わが祭る神にはあらず丈夫に
(娘子)


四〇七:春霞春日の里の植子水葱
(大伴駿河麿〔大伴駿河麻呂〕)


四〇八:石竹のその花にもが朝な朝な
(大伴家持)


四〇九:一日には千重波しきに思へども
(大伴駿河麿〔大伴駿河麻呂〕)


四一〇:橘を屋前に植ゑ生し立ちてゐて
(大伴坂上郎女)


四一一:吾妹子が屋前の橘いと近く
(作者不詳)


四一二:頂に蔵める玉は二つ無し
(市原王)

四一三:須磨の海人の塩焼衣の藤衣間遠に
(大網公人主)

四一四:あしひきの岩根こごしみ菅の根を
(大伴家持)


四一五:家にあれば妹が手まかむ草枕
(聖徳皇子〔聖徳太子〕)


四一六:ももづたふ磐余の池に鳴く鴨を
(大津皇子)


四一七:王の親魄逢へか豊国の
(手持女王)


四一八:豊国の鏡山の石戸立て
(手持女王)


四一九:石戸破る手力もがも手弱き
(手持女王)


四二〇:なゆ竹の とをよる皇子 さ丹つらふ わご大王は
(丹生王)


四二一:逆言の狂言とかも高山の
(丹生王)


四二二:石上布留の山なる杉群の
(丹生王)

四二三:つのさはふ 磐余の道を 朝さらず 行きけむ人の
(山前王)

四二四:隠口の泊瀬少女が手に纏ける
(山前王)


四二五:河風の寒き長谷を嘆きつつ
(山前王)


四二六:草枕旅の宿に誰が夫か
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕


四二七:百足らず八十隅坂に手向せば
(刑部垂麿〔刑部垂麻呂〕)


四二八:隠口の泊瀬の山の山の際に
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕)


四二九:山の際ゆ出雲の児らは霧なれや
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕)


四三〇:八雲さす出雲の子らが黒髪は
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕)


四三一:古に 在りけむ人の 倭文幡の 帯解きかへて
(山部赤人〔山辺赤人〕)


四三二:われも見つ人にも告げむ葛飾の
(山部赤人〔山辺赤人〕)


四三三:葛飾の真間の入江にうちなびく
(山部赤人〔山辺赤人〕)


四三四:風早の美保の浦廻の白つつじ
(河辺宮人)


四三五:みつみつし久米の若子がい触れけむ
(河辺宮人)


四三六:人言の繁きこのころ玉ならば
(河辺宮人)


四三七:妹もわれも清の河の川岸の
(河辺宮人)


四三八:愛しき人の纏きてし敷栲の
(大伴旅人)


四三九:還るべく時は成りけり京師にて
(大伴旅人)


四四〇:京なる荒れたる家にひとり寝ば
(大伴旅人)


四四一:大君の命恐み大殯の
(倉橋部大女)


四四二:世間は空しきものとあらむとそ
(作者不明)


四四三:天雲の 向伏す国の 武士と いはゆる人は
(大伴三中)


四四四:昨日こそ君は在りしか思はぬに
(大伴三中)


四四五:何時しかと待つらむ妹に玉梓の
(大伴三中)


四四六:吾妹子が見し鞆の浦のむろの木は
(大伴旅人)


四四七:鞆の浦の磯のむろの木見むごとに
(大伴旅人)


四四八:磯の上に根這ふむろの木見し人を
(大伴旅人)


四四九:妹と来し敏馬の崎を還るさに
(大伴旅人)


四五〇:往くさには二人わが見しこの崎を
(大伴旅人)


四五一:人もなき空しき家は草枕
(大伴旅人)


四五二:妹として二人作りしわが山斎は
(大伴旅人)


四五三:吾妹子が植ゑし梅の樹見るごとに
(大伴旅人)


四五四:愛しきやし栄えし君の座しせば
(余明軍)


四五五:かくのみにありけるものを萩の花
(余明軍)


四五六:君に恋ひいたもすべ無み蘆鶴の
(余明軍)


四五七:遠長く仕へむものと思へりし
(余明軍)


四五八:若子の這ひたもとほり朝夕に
(余明軍)


四五九:見れど飽かず座しし君が黄葉の
(県犬養人上)


四六〇:栲綱の 新羅の国ゆ 人言を よしと聞かして
(大伴坂上郎女)


四六一:留め得ぬ命にしあれば敷栲の
(大伴坂上郎女)


四六二:今よりは秋風寒く吹きなむを
(大伴家持)


四六三:長き夜を独りや宿むと君が言へば
(大伴書持)


四六四:秋さらば見つつ思へと妹が植ゑし
(大伴家持)


四六五:うつせみの世は常なしと知るものを
(大伴家持)


四六六:わが屋前に 花そ咲きたる そを見れど 情も行かず
(大伴家持)


四六七:時はしも何時もあらむを情いたく
(大伴家持)


四六八:出でて行く道知らませばあらかじめ
(大伴家持)


四六九:妹が見し屋前に花咲き時は経ぬ
(大伴家持)


四七〇:かくのみにありけるものを妹もわれも
(大伴家持)


四七一:家離りいます吾妹を停めかね
(大伴家持)


四七二:世間は常かくのみとかつ知れど
(大伴家持)


四七三:佐保山にたなびく霞見るごとに
(大伴家持)


四七四:昔こそ外にも見しか吾妹子が
(大伴家持)


四七五:懸けまくも あやにかしこし 言はまくも ゆゆしきかも
(大伴家持)


四七六:わご王天知らさむと思はねば
(大伴家持)


四七七:あしひきの山さへ光り咲く花の
(大伴家持)


四七八:懸けまくも あやにかしこし わご王 皇子の命
(大伴家持)


四七九:愛しきかも皇子の命のあり通ひ
(大伴家持)


四八〇:大伴名に負ふ靱負ひて万代に
(大伴家持)


四八一:白栲の 袖さし交へて 靡き寝る わが黒髪の
(高橋朝臣)

四八二:うつせみの世の事にあれば外に見し
(高橋朝臣)

四八三:朝鳥の音のみし泣かむ吾妹子に
(高橋朝臣)


巻三:完
巻三についても今後もまた各歌の解説で写真などを追加していく予定です。



万葉集巻四

四八四:一日こそ人も待ちよき長き日を
(磐姫皇后)

四八五:神代より 生れ継ぎ来れば 人多に 国には満ちて
(崗本天皇〔斉明天皇?〕)

四八六:山の端にあぢ群騒き行くなれど
(崗本天皇〔斉明天皇?〕)

四八七:淡海路の鳥籠の山なる不知哉川
(崗本天皇〔斉明天皇?〕)

四八八:君待つとわが恋ひをればわが屋戸の
(額田王)

四八九:風をだに恋ふるは羨もし風をだに
(鏡王女)

四九〇:真野の浦の淀の継橋情ゆも
(吹黄刀自)

四九一:河の上のいつ藻の花の何時も何時も
(吹黄刀自)

四九二:衣手に取りとどこほり泣く児にも
(舎人吉年)

四九三:置きて行かば妹恋ひむかも敷栲の
(田部忌寸櫟子)

四九四:吾妹子を相知らしめし人をこそ
(田部忌寸櫟子?)

四九五:朝日影にほへる山に照る月の
(田部忌寸櫟子?)

四九六:み熊野の浦の浜木綿百重なす
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕

四九七:古にありけむ人もわがごとか
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕

四九八:今のみの行業にはあらず古の
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕

四九九:百重にも来及かぬかもと思へかも
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕

五〇〇:神風の伊勢の浜荻折り伏せて
(碁檀越の妻)

五〇一:未通女等が袖布留山の瑞垣の
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕

五〇二:夏野ゆく牡鹿の角の束の間も
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕

五〇三:珠衣のさゐさゐしづみ家の妹に
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕

五〇四:君が家にわが住坂の家道をも
(柿本人麿〔柿本人麻呂〕の妻)

五〇五:今更に何をか思はむうちなびき
(安倍女郎)

五〇六:わが背子は物な思ひそ事しあらば
(安倍女郎)


五〇七:敷栲の枕ゆくくる涙にそ
(駿河采女)


五〇八:衣手の別く今夜より妹もわれも
(三方沙弥)


五〇九:臣女の 匣に乗れる 鏡なす 御津の浜辺に
(丹比笠麿〔丹比笠麻呂〕)


五一〇:白栲の袖解きかへて還り来む
(丹比笠麿〔丹比笠麻呂〕


五一一:わが背子はいづく行くらむ奥つもの
(大麻麿大夫〔當麻麻呂大夫〕の妻)


五一二:秋の田の穂田の刈ばかか寄り合はば
(草嬢〔蚊屋娘〕)


五一三:大原のこの厳柴の何時しかと
(志貴皇子)

五一四:わが背子が著せる衣の針目落ちず
(阿倍女郎)


五一五:独り宿て絶えにし紐をゆゆしみと
(中臣東人)


五一六:わが持たる三相によれる糸もちて
(阿倍女郎)


五一七:神樹にも手は触るとふをうつたへに
(大伴安麿〔大伴安麻呂〕)


五一八:春日野の山辺の道を恐なく
(石川郎女)


五一九:雨障常する君はひさかたの
(大伴女郎)


五二〇:ひさかたの雨も降らぬか雨つつみ
(作者不詳)


五二一:庭に立つ麻手刈り干し布さらす
(常陸娘子)


五二二:をとめ等が珠匣なる玉櫛の
(藤原麿〔藤原麻呂〕)


五二三:よく渡る人は年にもありとふを
(藤原麿〔藤原麻呂〕)


五二四:むしぶすま柔やが下に臥せれども
(藤原麿〔藤原麻呂〕)


五二五:佐保河の小石ふみ渡りぬばたまの
(大伴坂上郎女)


五二六:千鳥鳴く佐保の河瀬のさざれ波
(大伴坂上郎女)


五二七:来むといふも来ぬ時あるを来じといふを
(大伴坂上郎女)


五二八:千鳥鳴く佐保の河門の瀬を広み
(大伴坂上郎女)


五二九:佐保河の岸のつかさの柴な刈りそね
(大伴坂上郎女)


五三〇:赤駒の越ゆる馬柵結びてし
(聖武天皇)


五三一:梓弓爪引く夜音の遠音にも
(海上女王)


五三二:うち日さす宮に行く児をまがなしみ
(大伴宿奈麿〔大伴宿奈麻呂〕)


五三三:難波潟潮干の波残飽くまでに
(大伴宿奈麿〔大伴宿奈麻呂〕)


五三四:遠妻の ここにあらねば 玉桙の 道をた遠み
(安貴王)


五三五:敷栲の手枕巻かず間置きて
(安貴王)


五三六:飫宇の海の潮干の潟の片恋に
(門部王)


五三七:言清くいたくも言ひそ一日だに
(高田女王)


五三八:他辞を繁み言痛み逢はざりき
(高田女王)


五三九:わが背子し遂げむと言はば人言は
(高田女王)


五四〇:わが背子に復は逢はじかと思へばか
(高田女王)


五四一:現世には人言繁し来む生にも
(高田女王)


五四二:常止まず通ひし君が使来ず
(高田女王)


五四三:大君の 行幸のまにま 物部の 八十伴の雄と
(笠金村)


五四四:後れゐて恋ひつつあらずは紀伊の国の
(笠金村)


五四五:わが背子が跡ふみ求め追ひ行かば
(笠金村)


五四六:三香の原 旅の宿りに 玉桙の 道の行き合ひに
(笠金村)


五四七:天雲の外に見しより吾妹子に
(笠金村)


五四八:今夜の早く明くればすべを無み
(笠金村)


五四九:天地の神も助けよ草枕
(作者不詳)


五五〇:大船の思ひたのみし君が去なば
(作者不詳)


五五一:大和路の島の浦廻に寄する波
(作者不詳)


五五二:わが君はわけをば死ねと思へかも
(大伴三依)


五五三:天雲の遠隔の極遠けども
(丹生女王)


五五四:古の人の食こせる吉備の酒
(丹生女王)


五五五:君がため醸みし待酒安の野に
(大伴旅人)


五五六:筑紫船いまだも来ねばあらかじめ
(賀茂女王)


五五七:大船を漕ぎの進みに磐に触れ
(土師水道)


五五八:ちはやぶる神の社にわが掛けし
(土師水道)


五五九:事も無く生き来しものを老なみに
(大伴百代)


五六〇:恋ひ死なむ後は何せむ生ける日の
(大伴百代)


五六一:思はぬを思ふといはば大野なる
(大伴百代)


五六二:暇無く人の眉根をいたづらに
(大伴百代)


五六三:黒髪に白髪交り老ゆるまで
(大伴坂上郎女)


五六四:山菅の実成らぬことをわれに依せ
(大伴坂上郎女)


五六五:大伴の見つとは言はじあかなさし
(賀茂女王)


五六六:草枕旅行く君を愛しみ
(大伴百代)


五六七:周防なる磐国山を越えむ日は
(山口忌寸若麻呂〔山口忌寸若麿〕)


五六八:み崎廻の荒磯に寄する五百重波
(門部石足)


五六九:韓人の衣染むとふ紫の
(麻田陽春)


五七〇:大和へに君が立つ日の近づけば
(麻田陽春)


五七一:月夜よし河音清けしいざここに
(大伴四綱)


五七二:まそ鏡見飽かぬ君に後れてや
(沙弥満誓)


五七三:ぬばたまの黒髪変り白髪ても
(沙弥満誓)


五七四:ここにありて筑紫や何処白雲の
(大伴旅人)


五七五:草香江の入江に求食る葦鶴の
(大伴旅人)


五七六:今よりは城の山道は不楽しけむ
(葛井大成)


五七七:わが衣人にな著せそ網引する
(大伴旅人)


五七八:天地と共に久しく住まはむと
(大伴三依)


五七九:見奉りていまだ時だに更らねば
(余明軍)


五八〇:あしひきの山に生ひたる菅の根の
(余明軍)


五八一:生きてあらば見まくも知らず何しかも
(大伴坂上大嬢)


五八二:丈夫もかく恋ひけるを手弱女の
(大伴坂上大嬢)


五八三:つき草の移ろひやすく思へかも
(大伴坂上大嬢)

五八四:春日山朝立つ雲のゐぬ日無く
(大伴坂上大嬢)

五八五:出でて去なむ時しはあらむを故に
(大伴坂上郎女)

五八六:相見ずは恋ひざらましを妹を見て
(大伴稲公〔大伴坂上郎女の代作〕)


五八七:わが形見見つつ思はせあらたまの
(笠女郎〔笠郎女〕)

五八八:白鳥の鳥羽山松の待ちつつそ
(笠女郎〔笠郎女〕


五八九:衣手を打廻の里にあるわれを
(笠女郎〔笠郎女〕


五九〇:あらたまの年の経ぬれば今しはと
(笠女郎〔笠郎女〕


五九一:わが思を人に知るれや玉匣
(笠女郎〔笠郎女〕


五九二:闇の夜に鳴くなる鶴の外のみに
(笠女郎〔笠郎女〕


五九三:君に恋ひ甚も術なみ平山の
(笠女郎〔笠郎女〕


五九四:わが屋戸の夕影草の白露の
(笠女郎〔笠郎女〕


五九五:わが命の全けむかぎり忘れめや
(笠女郎〔笠郎女〕


五九六:八百日行く浜の沙もわが恋に
(笠女郎〔笠郎女〕)


五九七:うつせみの人目を繁み石橋の
(笠女郎〔笠郎女〕)


五九八:恋にもそ人は死にする水無瀬河
(笠女郎〔笠郎女〕)


五九九:朝霧のおほに相見し人ゆゑに
(笠女郎〔笠郎女〕)


六〇〇:伊勢の海の磯もとどろに寄する波
(笠郎女〔笠郎女〕)


六〇一:情ゆも吾は思はざりき山河も
(笠女郎〔笠郎女〕)


六〇二:夕さればもの思ひ益る見し人の
(笠女郎〔笠郎女〕)


六〇三:思ふにし死するものにあらませば
(笠女郎〔笠郎女〕)


六〇四:剣太刀身に取り副ふと夢に見つ
(笠女郎〔笠郎女〕)


六〇五:天地の神の理なくはこそ
(笠女郎〔笠郎女〕)


六〇六:われも思ふ人もな忘れおほなわに
(笠女郎〔笠郎女〕


六〇七:皆人を寝よとの鐘は打つなれど
(笠郎女〔笠郎女〕)


六〇八:相思はぬ人を思ふは大寺の
(笠女郎〔笠郎女〕)


六〇九:情ゆも我は思はざりきまたさらに
(笠女郎〔笠郎女〕)


六一〇:近くあらば見ずともあらむをいや遠く
(笠女郎〔笠郎女〕)


六一一:今更に妹に逢はめやと思へかも
(大伴家持)


六一二:なかなかに黙もあらましを何すとか
(大伴家持)


六一三:物思ふと人に見えじとなまじひに
(山口女王)


六一四:相思はぬ人をやもとな白栲の
(山口女王)


六一五:わが背子は相思はずとも敷栲の
(山口女王)


六一六:剣太刀名の惜しけくもわれは無し
(山口女王)


六一七:葦辺より満ち来る潮のいやましに
(山口女王)


六一八:さ夜中に友呼ぶ千鳥もの思ふと
(大神女郎)


六一九:押し照る 難波の菅の ねもころに 君が聞して
(大伴坂上郎女)


六二〇:初めより長くいひつつたのめずは
(大伴坂上郎女)


六二一:間無く恋ふるにかあらむ草枕
(佐伯東人の妻)


六二二:草枕旅に久しくなりぬれば
(佐伯東人)


六二三:松の葉に月は移りぬ黄葉の
(池辺王)


六二四:道にあひて咲まししからに降る雪の
(聖武天皇)


六二五:沖方行き辺を行き今や妹がため
(高安王)

六二六:君により言の繁きを古郷の
(八代女王)


六二七:わが袂まかむと思はむ丈夫は
(娘子)


六二八:白髪生ふる事は思わず変水は
(佐伯赤麿〔佐伯赤麻呂〕)


六二九:何すとか使の来つる君をこそ
(大伴四綱)


六三〇:初花の散るべきものを人言の
(佐伯赤麿〔佐伯赤麻呂〕)


六三一:表辺なきものかも人はしかばかり
(湯原王)


六三二:目には見て手には取らえぬ月の内の
(湯原王)


六三三:ここだくも思ひけめかも敷栲の
(娘子)


六三四:家にして見れど飽かぬを草枕
(娘子)


六三五:草枕旅には妻は率たれども
(湯原王)


六三六:わが衣形見に奉る敷栲の
(湯原王)


六三七:わが背子が形見の衣妻問に
(娘子)


六三八:ただ一夜隔てしからにあらたまの
(湯原王)


六三九:わが背子がかく恋ふれこそぬばたまの
(娘子)


六四〇:はしけやし間近き里を雲居にや
(湯原王)


六四一:絶ゆと言はば侘しみせむと焼太刀の
(娘子)


六四二:吾妹子が恋ひ乱れたり反転に
(湯原王)


六四三:世間の女にしあらばわが渡る
(紀女郎)


六四四:今は吾は侘びそしにける気の緒に
(紀女郎)


六四五:白栲の袖別るべき日を近み
(紀女郎)


六四六:丈夫の思ひ侘びつつ度まねく
(大伴駿河麿〔大伴駿河麻呂〕)


六四七:心には忘るる日無く思へども
(大伴坂上郎女)


六四八:相見ずて日長くなりぬこのころは
(大伴駿河麿〔大伴駿河麻呂〕)


六四九:夏葛の絶えぬ使のよどめれば
(大伴坂上郎女)


六五〇:吾妹子は常世の国に住みけらし
(大伴三依)


六五一:ひさかたの天の露霜おきにけり
(大伴坂上郎女)


六五二:玉主に玉は授けてかつがつも
(大伴坂上郎女)


六五三:情には忘れぬものをたまさかに
(大伴駿河麿〔大伴駿河麻呂〕)


六五四:相見ては月も経なくに恋ふと言はば
(大伴駿河麿〔大伴駿河麻呂〕)


六五五:思はぬを思ふと言はば天地の
(大伴駿河麿〔大伴駿河麻呂〕)


六五六:われのみそ君には恋ふるわが背子が
(大伴坂上郎女)


六五七:思はじと言ひてしものを朱華色の
(大伴坂上郎女)


六五八:思へども験なしと知るものを
(大伴坂上郎女)


六五九:あらかじめ人言繁しかくしあらば
(大伴坂上郎女)


六六〇:汝をと吾を人そ離くなるいで吾君
(大伴坂上郎女)


六六一:恋ひ恋ひて逢へる時だに愛しき
(大伴坂上郎女)


六六二:網児の山五百重隠せる佐堤の崎
(市原王)


六六三:佐保わたり吾家の上に鳴く鳥の
(安都年足)


六六四:石上ふるとも雨に障らめや
(大伴像見)


六六五:向ひゐて見れども飽かぬ吾妹子に
(安倍虫麿〔阿倍虫麻呂〕)


六六六:相見ぬはいく久さにもあらなくに
(大伴坂上郎女)


六六七:恋ひ恋ひて逢ひたるものを月しあれば
(大伴坂上郎女)


六六八:朝に日に色づく山の白雲の
(厚見王)


六六九:あしひきの山橘の色に出でよ
(春日王)


六七〇:月読の光に来ませあしひきの
(湯原王)


六七一:月読の光は清く照らせれど
(作者不詳)


六七二:倭文手纏数にもあらぬ命もち
(安倍虫麿〔安倍虫麻呂〕)


六七三:まそ鏡磨ぎし心をゆるしなば
(大伴坂上郎女)


六七四:真玉付くをちこちかねて言はいへど
(大伴坂上郎女)


六七五:をみなへし佐紀沢に生ふる花かつみ
(中臣女郎)


六七六:海の底奥を深めてわが思へる
(中臣女郎)


六七七:春日山朝ゐる雲のおほほしく
(中臣女郎)


六七八:直に逢ひて見てばのみこそたまきはる
(中臣女郎)


六七九:否と言はば強ひめやわが背菅の根の
(中臣女郎)


六八〇:けだしくも人の中言聞せかも
(大伴家持)


六八一:なかなかに絶ゆとし言はばかくばかり
(大伴家持)


六八二:思ふらむ人にあらなくにねもころに
(大伴家持)


六八三:いふ言の恐き国そ紅の
(大伴坂上女郎)


六八四:今は吾は死なむよわが背生けるとも
(大伴坂上郎女)


六八五:人言を繁みか君の二鞘の
(大伴坂上郎女)


六八六:このころは千歳や往きも過ぎぬると
(大伴坂上郎女)


六八七:愛しとわが思ふこころ速河の
(大伴坂上郎女)


六八八:青山を横切る雲の著ろく
(大伴坂上郎女)


六八九:海山も隔たらなくに何しかも
(大伴坂上郎女)


六九〇:照らす日を闇に見なして泣く涙
(大伴坂上郎女)


六九一:ももしきの大宮人は多かれど
(大伴家持)


六九二:表辺なき妹にもあるかもかくばかり
(大伴家持)


六九三:かくのみし恋ふや渡らむ秋津野に
(大伴千室)


六九四:恋草を力車に七車積みて
(広河女王)


六九五:恋は今はあらじとわれは思ひしを
(広河女王)


六九六:家人に恋ひ過ぎめやもかはづ鳴く
(石川広成)


六九七:わが聞きにかけてな言ひそ刈薦の
(大伴像見)


六九八:春日野に朝ゐる雲のしくしくに
(大伴像見)


六九九:一瀬には千たび障らひ逝く水の
(大伴像見)


七〇〇:かくしてやなほや退らむ近からぬ
(大伴家持)


七〇一:はつはつに人を相見ていかならむ
(河内百枝娘子)


七〇二:ぬばたまのその夜の月夜今日までに
(河内百枝娘子)


七〇三:わが背子を相見しその日今日までに
(巫部麻蘇娘子)


七〇四:栲繩の永き命を欲りしくは
(巫部麻蘇娘子)


七〇五:葉根蘰今する妹を夢に見て
(大伴家持)


七〇六:葉根蘰今する妹は無かりしを
(童女)


七〇七:思ひ遣るすべの知らねば片もひの
(粟田女娘子)


七〇八:またも逢はむ因もあらぬか白栲の
(粟田女娘子)


七〇九:夕闇は路たづたづし月待ちて
(豊前国娘子)


七一〇:み空行く月の光にただ一目
(安都扉娘子)


七一一:鴨鳥の遊ぶこの池に木の葉落ちて
(丹波大女娘子)


七一二:味酒三輪の祝がいはふ杉
(丹波大女娘子)


七一三:垣穂なす人言聞きてわが背子が
(丹波大女娘子)


七一四:情には思ひ渡れど縁を無み
(大伴家持)


七一五:千鳥鳴く佐保の河門の清き瀬を
(大伴家持)


七一六:夜昼といふ別知らにわが恋ふる
(大伴家持)


七一七:つれも無くあるらむ人を片思に
(大伴家持)


七一八:思はぬに妹が笑ひを夢にみて
(大伴家持)


七一九:丈夫と思へるわれをかくばかり
(大伴家持)


七二〇:村肝の情くだけてかくばかり
(大伴家持)


七二一:あしひきの山にしをれば風流なみ
(大伴坂上郎女)


七二二:かくばかり恋ひつつあらずは石木にも
(大伴家持)


七二三:常世にと わが行かなくに 小金門に もの悲しらに
(大伴坂上郎女)


七二四:朝髪の思ひ乱れてかくばかり
(大伴坂上郎女)


七二五:にほ鳥の潜く池水情あらば
(大伴坂上郎女)


七二六:外にゐて恋ひつつあらずは君が家の
(大伴坂上郎女)


七二七:忘れ草わが下紐に着けたれど
(大伴家持)


七二八:人も無き国もあらぬか吾妹子と
(大伴家持)


七二九:玉ならば手にも巻かむをうつせみの
(大伴坂上大嬢)


七三〇:逢はむ夜は何時もあらむを何すとか
(大伴坂上大嬢)


七三一:わが名はも千名の五百名に立ちぬとも
(大伴坂上大嬢)


七三二:今しはし名の惜しけくもわれは無し
(大伴家持)


七三三:うつせみの世やも二行く何すとか
(大伴家持)


七三四:わが思ひかくてあらずは玉にもが
(大伴家持)


七三五:春日山霞たなびき情ぐく
(大伴坂上大嬢)


七三六:月夜には門に出で立ち夕占問ひ
(大伴家持)


七三七:かにかくに人は言ふとも若狭道の
(大伴坂上大嬢)


七三八:世間し苦しきものにありけらし
(大伴坂上大嬢)


七三九:後瀬山後も逢はむと思へこそ
(大伴家持)


七四〇:言のみを後も逢はむとねもころに
(大伴家持)


七四一:夢の逢は苦しかりけり覚きて
(大伴家持)


七四二:一重のみ妹が結ばむ帯をすら
(大伴家持)


七四三:わが恋は千引の石を七ばかり
(大伴家持)


七四四:暮さらば屋戸開け設けてわれ待たむ
(大伴家持)


七四五:朝夕に見む時さへや吾妹子が
(大伴家持)


七四六:生ける世に吾はいまだ見ず言絶えて
(大伴家持)


七四七:吾妹子が形見の衣下に着て
(大伴家持)


七四八:恋死なむそこも同じそ何せむに
(大伴家持)


七四九:夢にだに見えばこそあらめかくばかり
(大伴家持)


七五〇:思ひ絶えわびにしものをなかなかに
(大伴家持)


七五一:相見ては幾日も経ぬをここだくも
(大伴家持)


七五二:かくばかり面影のみに思ほえば
(大伴家持)


七五三:相見てはしましく恋は和ぎむかと
(大伴家持)


七五四:夜のほどろわが出でて来れば吾妹子が
(大伴家持)


七五五:夜のほどろ出でつつ来らく遍多く
(大伴家持)


七五六:外にゐて恋ふるは苦し吾妹子を
(大伴田村大嬢)


七五七:遠くあらばわびてもあらむを里近く
(大伴田村大嬢)


七五八:白雲のたなびく山の高高に
(大伴田村大嬢)


七五九:いかならむ時にか妹を葎生の
(大伴田村大嬢)


七六〇:うち渡す竹田の原に鳴く鶴の
(大伴坂上郎女)


七六一:早河の瀬にゐる鳥の縁を無み
(大伴坂上郎女)


七六二:神さぶと否とにはあらねはたやはた
(紀女郎)


七六三:玉の緒を沫緒によりて結べらば
(紀女郎)


七六四:百年に老舌出でてよよむとも
(大伴家持)


七六五:一重山隔れるものを月夜よみ
(大伴家持)


七六六:路遠み来じとは知れるものからに
(藤原郎女)


七六七:都路を遠みか妹がこのころは
(大伴家持)


七六八:今しらす久邇の京に妹に逢はず
(大伴家持)


七六九:ひさかたの雨の降る日をただ独り
(大伴家持)


七七〇:人眼多み逢はなくのみそ情さへ
(大伴家持)


七七一:偽りも似つきてそする顕しくも
(大伴家持)


七七二:夢にだに見えむとわれは保杼毛友逢
(大伴家持)


七七三:言問はぬ木すら紫陽花諸弟らが
(大伴家持)


七七四:百千たび恋ふといふとも諸弟らが
(大伴家持)


七七五:うづら鳴く故りにし郷ゆ思へども
(大伴家持)


七七六:言出しは誰が言なるか小山田の
(紀女郎)


七七七:吾妹子が屋戸の籬を見に行かば
(大伴家持)


七七八:うつたへに籬の姿見まく欲り
(大伴家持)


七七九:板葺の黒木の屋根は山近し
(大伴家持)


七八〇:黒木取り草も刈りつつ仕へめど
(大伴家持)


七八一:ぬばたまの昨日は還しつ今夜だへ
(大伴家持)


七八二:風高く辺には吹けども妹がため
(紀女郎)


七八三:前年の先つ年より今年まで
(大伴家持)


七八四:現にはまたも得言はじ夢にだに
(大伴家持)


七八五:わが屋戸の草の上白く置く露の
(大伴家持)


七八六:春の雨はいや頻降るに梅の花
(大伴家持)


七八七:夢のごと思ほゆるかも愛しきやし
(大伴家持)


七八八:末若み花咲きがたき梅を植ゑて
(大伴家持)


七八九:情ぐく思ほゆるかも春霞
(大伴家持)

七九〇:春風の声にし出なばありさりて
(大伴家持)

七九一:奥山の磐かげに生ふる菅の根の
(藤原久須麿〔藤原久須麻呂〕)

七九二:春雨を待つとにしあらしわが屋戸の
(藤原久須麿〔藤原久須麻呂〕)


巻四:完
巻四についても今後もまた各歌の解説で写真などを追加していく予定です。



万葉集全巻一覧
万葉集全歌一覧(巻一 〜 巻四)

万葉集全歌一覧(巻五 〜 巻八)

巻一  巻二  巻三  巻四

巻五  巻六  巻七  巻八

(以降の巻もまた追加していきます)

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